2009年06月14日

本 朗読者「愛を読むひと」

≪映画のポスターが大変良く出来ていて それが全てだと思ってしまうことがままあるけれど 原作を読むとそれは只の一面しか現していないことがある≫

15歳の少年の大人の恋『愛を読むひと』が現在公開されている。原作はベストセラーの『朗読者』です。

原作はドイツでの刊行後 5年間で20ヶ国以上の言葉で翻訳され アメリカでは200万部を超える大ベストセラーになった傑作『朗読者』。傑作かどうかは読む人 映画を見る人によって違うでしょう。

日本でも 海外文学で異例のミリオンセラーとなって 江國香織・高村薫・池澤夏樹をはじめとする作家が次々絶賛しています。

舞台となるのは1958年のドイツ。15歳の主人公・ミヒャエルが気分が悪くなったところを21歳年上のハンナに助けられ それをきっかけに男と女の関係になるが ハンナの私生活や過去が語られることは無かった。
あるときベッドを共にした後 ハンナが本を読んで欲しいと言われ朗読を軸にした少年と大人の女性のラブストーリーが展開する。
会う度に様々な本をハンナに読み聞かせ 初めての大人の恋にのめり込むミヒャエルだったが ある日ハンナは彼の前から突然姿を消してしまう。

ここまでで本の半分弱で 何かを期待していると外れます。15歳はまだ子供なので人を思いやるなど分からず 少年がセックスに溺れて行く内容です。

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そして8年後にハンナとの衝撃的な再会を法廷で迎えたミヒャエル。
更に月日は流れハンナとの出会いから20年後 ミヒャエルは獄中のハンナにとっての最後の朗読者となることを決意し 彼女の服役する刑務所に朗読を吹き込んだテープを送り始める。

当然これには深い分けがあって ハンナがこれまで過ごしてきた人生が裁判で明らかになって行くくだりが この作品の重い主要なテーマです。

それは戦後ドイツが抱えた「負の遺産」ナチズム 戦争犯罪に深く関わっていたことが明らかになってきます。

そして何故ハンナが アウシュヴィッツ強制収用所の若い囚人やミヒャエルに 朗読をさせたのかが明らかになってくるのです。 

映画でハンナを演じるのは『エターナル・サンシャイン』・『タイタニック』のケイト・ウィンスレット。 本年度アカデミー主演女優賞。
青年期のミヒャエルには『レッド・ドラゴン』『イングリッシュ・ペイシェント』に出演したレイフ・ファインズ。 良い配役ですね。

この本の深い読みは 次回にいたします。 しかし「ミヒャエル」が全編に取る行動は納得出来ませんね。負け犬・傍観者でハンナのある種の強い生き方から見て 敗残者と見るのはわたしだけでしょうか。
ニックネーム ハマの萱さん at 09:19| Comment(4) | TrackBack(0) | 読書と本

2009年05月29日

人影 本当は怖い「桃太郎伝説」

≪昔から語り継がれてきた昔話も よくよく読み返してみると考えさせられるところがある 子供のお話ではないようだ≫

本当は怖い「グリム童話」という本が よく売れたと聞いていますが 日本昔話も結構怖い話ってありますね。
「舌きりすずめ」とか「因幡の白兎」そして こぶを取られてしまう「こぶ取り爺さん」 また勧善懲悪「サルかに合戦」なんていうのもありますね。

極めつけは桃から生まれた「桃太郎」のお話 民俗学的には成立から解釈まで難しい学問的お話がありますが それはさて置き落語の「桃太郎」のお話の方がが良く分かるので記してみます。

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1.昔々あるところ とは
時代や場所をハッキリさせると その地域の人は興味を持つが その他の地域には広がらない。

2.昔話には「おじいさん・おばあさん」が出てくるが
じじとばばから 濁点を取れば「父と母」でこれは両親のお話ですね。
昔も今も子供はおじいさん・おばあさんに とても良く親しんでいた。

3.山に芝刈り 川に洗濯とは
川は本当は「海」で つまり「父の恩は山より高く 母の恩は海より深し」との喩えから来ているのです。

4.川から流れてきた「桃」から生まれた男の子 とは
人間のお腹から生まれた子供が 将来「鬼退治」をするわけなので 「神様」が不老長寿に薬効の在る尊い果物 桃から神様が生まれるという伏線を示しているんですね。

5.鬼が島って本当に あるのか
鬼が島などというものはこの世にはない これは「渡る世間を鬼が島」に喩えて 人間として生まれたら世の中の苦労をしなければいけないと 戒めているのです。
そして世間というところは恐ろしい 世の中の荒波にもまれる これが鬼が島の鬼退治ということなんですって。


6.お供の「犬・猿・雉」は他の動物では いけないのか
「犬」は三日飼われたら三年恩を忘れないという 仁義に篤い動物。
「猿」は猿知恵って馬鹿にすることもあるが 人間を別にすれば一番賢い知恵がある。
「雉」は卵を抱いているときに 蛇が卵を襲ってきたとき自分の体に巻きつかせて 最後は羽を広げてパチッと切ってしまうくらい 力と勇気を持っている。 
この三匹で「仁・智・勇」の 三つの徳が表されているんですって。

7.桃太郎が「黍団子」を持っていった のは
キビ(黍)は五穀の中でも米や麦」に比べたら粗末なもので 黍の団子といったら粗末なものの代名詞 つまり「贅沢をしてはいけない」という教えが込められている。

8.桃太郎の お話は
人間と生まれた以上 鬼が島の鬼退治 つまりこの世の苦労をさせ 贅沢をせず 質素倹約を守って 「仁・智・勇」の三つの徳を身に付け 鬼を退治して 山のような「宝物」を手に入れるお話です。

9.まとめとして
この宝物というのは「金銀財宝綾錦」ということではなく 世間に出て
身に付ける「信用・名誉・地位・財産」などのことを言い 「世の中の役に立つ一人前の人間になり 親に孝行し 家名を上げるという これが人間として一番の大事な道」だということを 昔の人が 子供にも分かるように 面白いお話に仕組んだ 御伽噺に名を借りた教訓話でした。

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桃太郎伝説のある「吉備津神社」の玄関口「岡山駅」の桃太郎銅像

かの「福沢諭吉」がお孫さんにこの桃太郎のお話をした時 このお話はよくない話だ 鬼がどれだけ悪事を働いたか分からないのに 金銀財宝を取ってくるのは「泥棒行為」だから このような本は読ませない聞かせないと怒った逸話があるようです。

このように教訓を読み取れば 「福沢諭吉」先生みたいに怒らなくてもいいのにねと思います。
昔は桃太郎も「日の丸の鉢巻」や 甲冑姿の凛々しさは無く 普通の姿で語られていたようです。
しかし 明治から昭和にかけて社会に軍事色が強くなると 何かの方向に世論を誘導するためいろいろ理屈付けも考えられて 写真のような姿になって 挙句に「国語の教科書」に取り上げられたとも考えられますね。
ニックネーム ハマの萱さん at 19:39| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書と本

2009年05月26日

カチンコ 哀しく切ないラブレター

≪大人の御伽噺と言ってしまえばそれまでだけれど 人は時としてそれに涙する そのような作品を読めたことはとても幸せなことです≫

第117回直木賞受賞作品に輝いた 浅田次郎の短編集「鉄道員(ぽっぽや)」に収められた佳品に「ラブレター」があります。
文庫本で35ページの短編小説で これがとてつもなく良くて・哀しくて・切ない恋物語です。


新宿・歌舞伎町で生きる高野吾郎は 裏ビデオ屋の雇われ店長や 歌舞伎町の危ない仕事で食いつないでいる40歳のしがない男が 仕事を貰っている知合いのヤクザに頼まれ 一度もあったことのない見ず知らずの 中国人女性「康百蘭・カン・パイラン」と偽装結婚をして戸籍上の夫となる。

ところが 裏ビデオ店の摘発にあい拘留されていた警察から出てくると その彼女が病死をしたと警察から連絡が入る。成り行き上吾郎は 会ったことのない妻の遺体を引き取りに千葉県の海辺の町のスナックに向かう。
そこで吾郎は白蘭が 死ぬ間際にしたためた自分あての手紙を目にする。
もちろん彼女は 日本でお金を稼ぐ為に多額の借金をしていて 地元のやくざの監視下にあって売春をしているんです。

手紙では まず 写真でしか(それもパスポート用の小さな写真)見たことのない「夫」吾郎への感謝の念が 愛情に変わっていった下りが切々と綴られていた。 わたしのことをお嫁さんにしてくれたから と。 吾郎も白蘭の顔をパスポートの写しで始めて見た。

そのなかには「私が死んだら、吾郎さん会いに来てくれますか。もし会えたなら、お願いひとつだけ。私を吾郎さんのお墓に入れてくれますか。吾郎さんのお嫁さんのまま死んでもいいですか。甘えてごめんなさい。でも私のお願いこのひとつだけです」と続き 「心から愛しています世界中の誰よりも。吾郎さん吾郎さん。再見。さよなら」と。 

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1995年に 中井貴一とコウ・チュウで映画化され 評判だったようですが わたしは残念ながら見ていません。

日本で、そしておそらく本国でも薄幸だったであろう白蘭。書類上だけとはいえ「妻」として迎えてくれた「夫」の「やさしさ」を唯一の頼りにして 肝硬変の末期「死ぬのは怖いけど痛いけどくるしいけどがまんします。お願い聞いてください」と記されていた。

その遺書を読んで吾郎の心に 思いがけない変化が起きる それは怒りに似た自分の生き方を見直す気持ちが芽生えてくるんですね。

この物語を読んで女性は男と違う感情があるでしょうが 男は潜在的にこの様なことが起こると思うと 感情が高まり吾郎と薄幸の女性に涙してしまうんですね。

病死のために病院も警察も配偶者「吾郎」がいることで 何も問題はないと淡々と処理をしていく。 「偽装結婚」であることを良く承知していながら 何事もないような態度をとる。
一人の中国人の女性が死んだのに 何事も無く過ぎ行く日常。

そして吾郎は 帰りの電車の中で 歌舞伎町を捨て 実家のある北国に住む農家の兄の元に 白蘭の遺骨を抱いて帰郷する決心をする場面で この短い物語は終わる。

浅田さんはこの外国人の「人身売買」とも言える社会的問題を 一組の男女のこころの変化を淡々と描きながら さりげなく問題提起をしているのだと思います。
人は「誰でも」幸せに暮らせる権利があると考えさせられました。
ニックネーム ハマの萱さん at 20:28| Comment(4) | TrackBack(0) | 読書と本

2009年05月21日

電車 ああ!「シベリア鉄道」

≪一世紀前に 海外それもヨーロッパに出かけるには どんな困難があったのだろう それなのに女性で出かけている≫

ここに一冊の本があります。森 まゆみさんの「女三人のシベリア鉄道」です。
明治の末から昭和のはじめにかけて いろいろな事情からシベリア鉄道に乗った三人の女性作家の人生の旅を追いかけた作品です。
著者も現代の「シベリア鉄道」に乗車して 三人の旅を検証した旅の記録でもあるようです。

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★与謝野晶子(作家・歌人)
パリにいる夫「鉄幹」に会うために 7人の子供を日本に置いてシベリア鉄道に乗りました。
(経済・財政担当大臣の与謝野馨さんはお孫さんです)

★宮本百合子(作家)
離婚後 友とも恋人とも言える女性とともに ロシア・モスクワに旅たった。
(元日本共産党委員長・宮本顕治氏の夫人)

★林芙美子(作家)
夫を東京に残して パリに住む別の男性を追いかけていった。
(森光子さん主演 放浪記の主人公)

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シベリア鉄道がどのように建設されたかは特に記しません

この当時 日本から10000キロも離れたヨーロッパに行くには 灼熱の赤道を越えて40日かかる船旅で行くか 昭和には便利が良くなった 「下関・釜山・ハルピン・満州里・チタ経由モスクワそしてパリ」まで それでも15日の超長旅だったようです。

この時代世の柵(しがらみ)が数多くあっても 先端を生きる女性たちの人生を見ると 体力にも知性にも満ち溢れて そして時には考えられないほどの とっぴな行動力と勇気をもっていたんだなと驚くばかりです。

「何かを強く求める心」は あらゆる門戸が開かれ 自由を満喫している現代の女性には もう持ち得ないものだという気がしています。
ニックネーム ハマの萱さん at 09:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書と本

2009年04月24日

黒ハート 韓国情報誌「マンナム」

≪最近TVのBS放送や 有料の衛星放送では 韓国ドラマの放映がとても多い 最近は歴史物も良く見られるな≫

海外から日本語で発信されているブログも 検索サイトには地域別にたくさんあります。

その中にお隣り韓国から 少し長いお付き合いをさせて頂いているブログに「あいマップ」さんがいます。

日本人スタッフの方が 韓国観光を多岐にわたって紹介している とても韓国のお国柄がわかる楽しいブログです。
わたしのこのページにも お気に入りリンクに入れてありますので ご覧になられた方もいらっしゃると思います。

このたび「あいマップ」さんから 韓国のことを日本の方にもっと良く知ってもらいたいという考えで 韓国情報誌「マンナム」が発刊され 現在第2号も「Freeペーパー」として配布されていますので ご紹介させていただきます。

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創刊号の特集は ドラマ「食客・シッケク」でも 重要な役割を担っている 韓国料理の真髄「醤味・ジャンマッ」です。
料理の味付けには無くてはならない物 「味噌・テンジャン」「醤油・カンジャン」「唐辛子味噌・コチュジャン」を総じて呼ぶのだそうです。
日本の料理の味付けでも 地方によってはそれぞれ特色がありますが 「味噌」と「醤油」はなくてはならないものですよね。

写真の「大甕」は昔 木の実などを入れていたようですが ドラマではほぼ同じものが老舗の韓国料理店の 特別な野天の貯蔵場に整然と並べていて 細心の注意で発酵・熟成管理がされていました。
料理人が命より大切な その店の秘伝という調味料ですね。

第2号の特集は 独自の発展を遂げた韓国医学「韓方・ハンバン」について記されています。
写真は薬剤を韓屋の天井から吊るして保管しているところ。

日本の医学では「西洋医学」が主流で いわゆる「漢方」は補助的治療に過ぎないようですが 韓国では「漢方」から発展して独自な韓国伝統医学「韓方」が重要な役割を担っていて 医師は西洋医学の国家資格とは別に 韓医師としての資格を取得しないと治療が出来ないのだそうです。

日本では「漢方」というと わたしなどは鍼灸や各種煎じ薬の域を出ませんが こちらの紹介を読むと恥ずかしい限りですね。

韓国も中国も「医食同源」や「薬膳」の考え方が確立していて 特に「韓方」は自己治療力を最大限に引き上げ免疫力を高め 病の根幹を治療していくことにあるのだそうです。 確かにそのとおりですね。
それはとりも直さず「病にはかからないことの方が大事」 という疾病が発生する前に治療をする 予防に対する概念が強く出されているとありました。

暴飲暴食を戒め 早寝早起きストレスを溜めずに 適度な運動が健康作りには大切なことですよね。 これが中々出来ないので頭が痛いですが
 要するに体に悪いことは習慣つけないということですね。

この情報誌にはこれらのことが もっと詳しく載っていて 歴史や韓国ドラマの紹介もあって とても参考になり楽しい読み物でした。

勿論情報誌ですから 観光案内を含め「衣食・ホテル」の紹介 お土産品など盛りだくさんの案内が50数ページに亘って紹介されています。

最後に題名の「マンナム」とは ご紹介して置きます。
韓国語で「出会い・出会う」という意味で 韓国と日本は近くて遠い国といわれ 様々な国際問題を抱えていますが 韓国人と日本人が心から出会い 交流するならば これらの問題は解決するのではないかとの思い込めて「マンナム」という名前にしたとのこと。

そしてこの「マンナム」がささやかながらでも 「韓日」交流の架け橋になればと願ってやみません。「編集後記」から。


とても良く編集されていて 日本語の表記にも誤りが無く とても分かりやすいです。 編集氏の労力に賛辞を贈ります。

韓国の多様な情報「あいマップ」さんのホームページのURL
http://www.imapseoul.com/ はこちらから。
ニックネーム ハマの萱さん at 10:19| Comment(4) | TrackBack(0) | 読書と本

2009年03月19日

目 陰陽師「首」

≪古今東西・外国を含めて「幽霊」「妖怪」「化け物」「怨霊」の類に 人はなぜか引かれながら悩まされてきた 中世はまだ科学がじゅうぶん発達せず 暗闇に恐怖を覚える人間が見たものは何か≫

日本の中世・平安時代は平安な時代だと思われているが 貴族間の抗争などで都が荒れるときもあって 生活に困って餓死するものや 盗賊の跋扈で命を落とす者など多かったでしょうね。

そういうときこの世に恨みを残して死んだものは 「怨霊」になってさまよい出てくると考えられていたんでしょうね。

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そういう時に活躍したのが「陰陽寮」の陰陽師・阿倍晴明 映画などでは 安倍晴明のイメージは「美男子」「妖艶な雰囲気」「クール」といった神秘的な姿で演じられる。
中でも映画『陰陽師』『陰陽師II』で安倍晴明役を演じた「野村萬斎」は各所から絶賛されまさに当たり役となりました。
そのようなわけで「陰陽師」はどのような役職かご存知でしょう。

陰陽師は本来「朝廷」に仕え 天文・暦・風水など吉兆を判断する役目で 「怨霊」や「妖怪」を調伏するのが本職ではなかったのでしょう。

「陰陽師」シリーズは 夢枕獏さんの著作で 表紙絵を「村上豊」さんが描いています。

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このお二人で今までに何冊か「絵物語版」を出していて 先日古書店で「首」というものを手に入れました。

「村上豊」さんのたくさんの色絵の「挿絵」が入っていて楽しめました。 
内容は「竹取物語」の「かぐや姫」が 数多いる「求婚者」に謎掛けして この世にはない宝物を探してきた者と結婚するという内容に良く似ていて こちらの「首」はやんごとなき「姫君」が二人の想いものに
都のはずれの 「首塚」(盗賊が首を切られて埋葬されている)から 封印の石を持ってきたものに身を任せるというのが発端です。

そしてそこで起こった出来事とは これ以上は夜中にうなされるので書きません(笑)
この事件を解決したのが「阿倍晴明」なんですね。

この絵本「首」の他に 3冊の挿絵付き「絵物語版」があるようなので 財力に任せて探してみます(少し大げさですかね)。

★追書き
この本の刊行にあたって「夢枕獏」さんが次のように記しています。
「今回は、人の首が妖者となって宙を飛び、人を襲ったり生肉を食べたりします。
本来は、大変に怖いお話なのですが、村上さんの絵を眺めていると、この怖いはずの妖者たちまでもが、なんだか愛しくなってきてしまうというのは不思議です」 と語っています。
ニックネーム ハマの萱さん at 18:37| Comment(4) | TrackBack(0) | 読書と本

2009年02月22日

眼鏡 「京極堂」の妖怪物語

≪良く似た動植物があるけれど 良く調べて見ると まったく違う種類で驚かされる この動物は普段見かけないので 大人と子供だと思っちゃうね。≫

またまた凝りもせずに 「京極夏彦」さんの摩訶不思議な世界に嵌りこんでいます。

やっと読み終わった本の題名は「百器徒然袋・雨」です。
・一話目は「鳴釜」 神事を占うときに釜の中のお湯が鳴る音で「吉凶」を占うというところから来ています。

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・第二話は「瓶長」 古い瓶には汲めども尽きぬ水が湛えられている この瓶 それも「砧青磁」の瓶を探す過程の摩訶不思議なお話・

・第三話が「山嵐・豪猪」 高価な薬膳料理をだす「茶寮」を舞台に ヤマアラシと僧侶を探す これはミステリー仕立ての物語でした。

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みなこれらの題名の由来は 「画図・百器徒然袋」日本の妖怪を網羅した画集から 作者が想像力を如何なく発揮して選んで付けたようですね。

例によって語り部の「僕」を引き回しに 迷探偵「榎木津礼二郎」そして博識の古書店「京極堂」の中善寺 その他迷探偵の目茶苦茶取り巻き連中が ハチャメチャな推理と一機果敢な「大団円」に向かう 読むのにやや疲れるほどの分厚い本の物語です。

その第三話の「山嵐・豪猪」が面白かったです。 中身は東京郊外のお寺のお坊さん それも「親子」の人の入れ替わり「失踪」?を推理するというお話です。

そして「ヤマアラシとハリネズミ」は どう違うのかなと思って 早速調べましたが 長くなんるのでそれはこの次にお話します。
ニックネーム ハマの萱さん at 12:07| Comment(2) | TrackBack(0) | 読書と本

2009年01月22日

本 新年から乱読だな

≪最近日本人は 本を読まなくなったと言われているけれど それでも結構本屋さんには多くの人を見かける やはり活字を読まなければね≫

東京に片道1時間掛けて通勤していたときは 車内で毎日本を読んでいたけれど 勤務が近場になったことで 前より本を読まなくなったけれど それでも結構読んでいると思う。

★最近読んだ本は 
岡田光世さんの 「ニューヨークのとけない魔法」と「ニューヨークの魔法は続く」でした。
評でかなり取り上げられていましたから 読まれた方も多いことでしょう。
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著者はニューヨークに住んでいて 日々の出来事と人々とのつながりを 時にはニューヨークっ子のおせっかいに手を焼きながら 愛着を持って綴っているエッセーです。
現代の日本の大都会 特に東京と比べて読むととても味わい深いです。

そして次は浅田次郎さんの「天きり松・闇がたり巻一」
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読み物としては大変面白く 明治・大正・昭和の時代の「仕立て屋銀次」の流れを汲む 掏りや泥棒たちの話で 巻4まであり副読本も1冊あります。
時代風俗が良く分かり 市井の時代物・歴史ものの趣があります。
巻一を読み終わったばかりなので 巻四まで読み終わるまでに少し時間が掛かりそうです。

そしてまた京極夏彦さんの「百器徒然袋・雨」
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こちらは 昨秋購入していたけれど 文庫で517頁高さ2センチ強の分厚さ なかなか読むタイミングがなく今になったもの。
内容は省きますが いろいろ薀蓄が多いので今やっとこ70ページまで読んだところ 読了はいつになることやら。

その合間に パトリシア・コーンウェルさんの「刑事ガラーノ」を 平行して読むという分けですから いささか乱読ですね。
ニックネーム ハマの萱さん at 16:34| Comment(2) | TrackBack(0) | 読書と本

2008年12月29日

目 「ぼんくら・日暮らし」がとても面白い

≪題材を江戸時代にとったミステリーは沢山あるけれど 登場人物のキャラクター
子供が準主役のこの物語はお勧めですよ≫


★「ぼんくら」宮部みゆき

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「殺し屋が来て、兄さんを殺してしまったんです」――江戸・深川の鉄瓶長屋で八百屋の太助が殺された。
その後、評判の良かった差配人が姿を消し、三つの家族も次々と失踪してしまった。
いったい、この長屋には何が起きているのか。ぼんくらな同心・平四郎が動き始めた。著者渾身の長編時代ミステリー。


★このぼんくらの続編が「日暮らし」です。
浅草の似顔絵扇子絵師が殺された。しかも素人とは思えない鮮やかな手口で。
「探索事は井筒様のお役目でしょう」―。岡っ引きの政五郎の手下、おでこの悩み、植木職人佐吉夫婦の心、煮売屋のお徳の商売敵。
本所深川のぼんくら同心・平四郎と超美形の甥っ子・弓之助が動き出す。著者渾身の時代ミステリー。


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佐吉が人を殺めた疑いを受け、自身番に身柄を囚われた。
しかも殺した相手が実の母、あの葵だという。今頃になって、誰が佐吉に、十八年前の事件の真相を教えたりしたのだろう? 真実を探し江戸を走り回る平四郎。
「叔父上、わたしは、本当のことがわからないままになってしまうことが案じられるのです」。


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「ねぇ叔父上、ここはひとつ、白紙に戻してみてはいかがでしょう」。元鉄瓶長屋差配人の久兵衛からもたらされた築地の大店。湊屋が長い間抱えてきた「ある事情」。葵を殺した本当の下手人は誰なのか。過去の嘘や隠し事のめくらましの中で、弓之助の推理が冴える。進化する“宮部ワールド”衝撃の結末へ。

■「日暮らし」 宮部みゆき
この「日暮らし」という時代劇。「ぼんくら」という作品の続編になります。
前作同様に 八丁堀の同心の井筒平四郎。養子に予定している頭の切れる美少年の弓之助とおでこちゃん 煮豆屋のお徳 鉄瓶長屋の差配人だった久兵衛や植木職の佐吉 そして佐吉の実母葵などが引き続き登場。

中編 短篇などを織り交ぜた上で 一本の長編にまとめてある作品ですが 本当に面白かったです。

宮部みゆきさんの実力をまざまざと見せつける作品でした。
たくさんの登場人物がそれぞれに悩み・考え・苦しみ そしてともにあることに幸せを見いだしていく作品でした。
お話しの中にはせつない話も多く 一つ一つの作品の中ではアンハッピーエンドなものもあるけれど 大きな一本の芯の物語は 葵の殺人事件ですから 全員が幸せになるはずはないのですが それでも読んだあとに心が温まった作品です。

「日暮らし」だけでも十分読み物としての完成度は高いのですが できたら 「ぼんくら」を読んでから読んだほう がいっそう面白くなる筈です。

いや〜文庫で5冊 「日暮らし」が「ぼんくら」の続編とは知らずに読んで 
途中から「ぼんくら」をもう一度読み直して 「日暮らし」を読みました。
「井筒平四郎」は 薄ぼんやりの八丁堀同心ではありません。 
超美形の甥っ子・弓之助や 人間録音機おでこの三太郎など
キャラクターが楽しくて しっかり読みきりました。
ニックネーム ハマの萱さん at 20:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書と本

2008年12月16日

本 浅田次郎「お腹召しませ」から

≪徳川幕府が倒れて 明治維新が成立してから高々140〜50年 太平の眠りを覚まされて右往左往する 徳川の旗本・御家人の悲哀と男意地を ほのぼのとしたペーソスで描いていました≫

日本人の時代物・歴史物の書物や映画・ドラマ好きは 並々ならぬ肩入れで「天璋院篤姫」など 大人気ですね。

そんな中「浅田次郎」さんの 表題「お腹を召しませ」幕末を舞台にしたは短編集です。

現代の話をお話の入り口枕にして それからひょいっと幕末へ飛んで ご一新の武家社会を題材にした短いお話が展開されて そして最後に現代にまた帰ってくるという手法を取っています。
このあたりは「あやし うらめし あな かなし」と同じようで 典型的な枠小説がいくつか入っています。

そしてこの短篇がまた実にいいんですね。
本人たちにとってはシリアスだったり困った話だったりするんですけれど 読み手からするとユーモアたっぷりにペーソスもあり とても笑わせてくれます。
勿論作者のペンも良く走っていて 細やかな人情にホロリとさせてくれるところが随所にあり いい意味で浅田次郎の美味しいところを摘み食いしている感じで とても楽しませてくれます。

★時代超えた男の悲哀「お腹を召しませ」
思い出話は 電話もTVもないおじいさんと二人暮らしの日々に 落剥した家で孫の楽しみが無いと考えたおじいさんが 夜語りで語った実話?噂話の数々。

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★表題作「お腹召しませ」
江戸屋敷勘定方だった高津又兵衛は 婿に取った男に職を譲り 引退した。
その婿はあろうことか藩の金を使い込んで 挙句に女を身請けして逐電した。
お家を守る方法はただひとつ 又兵衛が腹を切ること。
妻も そして娘までが「よろしくお腹を召しませ」という。
さあこの始末どうつけるのか?

★「大手三之御門御与力様失踪事件之顛末」
携帯電話を持つ現代人は、まるで伸縮自在の首輪をつけられたも同然だ という 枕話から・・

御百人組は徳川の由緒正しき鉄砲隊である。その鉄砲隊の一人横山四郎次郎が勤番中に行方知れずになった。大人なのに、神隠し。

なぜ?そして一体どうやって?

★「安芸守様御難事」
作者の級友の誰かが先輩役員を多数飛び越えて社長に就任した。
「何が困るって、わからないことが多すぎる」という。
そういった話から・・・

徳川幕府260年の内に 必要悪の賄賂も 滑稽なまでに儀式化してしまい 大藩のお殿様も意味が分からず儀式の片棒を担ぐが?

★「女敵討」
貞という字。貞淑の貞。今は人名にもあまり使わなくなった字から・・。

奥州財部藩士 吉岡定次郎が配下の徒歩組三十人を引き連れて江戸勤番についたのは安政末年春だった。

しかし 江戸の町は平穏でいつまでこうなのか 毎日暇だし だからといってやめるのもな〜って感じでもう2年半。
その間に田舎の妻が浮気をした。浮気は不貞。当時は死罪に匹敵する大罪。 幼馴染のいけすかないやつがそれを知らせてきた。

もはや定次郎が成敗するしかない・・・が・・。

★「江戸残念考」
浅田次郎が ちゃんばらごっこがウマかったという話。それは死に際が見事だったから。

鳥羽伏見の戦いで幕軍は 薩長を主力とする官軍に完膚なきまで敗れてしまう。
将軍「徳川慶喜」は 兵隊を残してわずかな高官と共に 大阪天保山港から 兵隊を見捨てて艦で江戸へ逃げてしまう。

この有様をみて 多くの旗本・御家人は悲憤慷慨「残念・無念!!」と 髀肉之嘆を声高らかに 挨拶代わりにして慰めていた。
江戸では幕臣が徳川260年の恩義を感じて 上野の彰義隊に身を投じて駆けつける。 浅田次郎左衛門もその一人。
しかし圧倒的な官軍に抗する術もないが 義に準じて老いた郎党と共に官軍に抵抗する幕軍に死に場所を求めていく。

この6篇の物語の中で一番良く出来たお話でした。男はこのような話がとても好きですね。 アホらしいけれど「義」に殉じる 泣けますね。

★「御鷹狩」
錦切れの薩長の官兵が支配する維新後の江戸の町。
新吾は仲間二人と先行きの見えない苛立ちから 官兵相手の路上売春婦の「夜鷹狩り」に出た。そして夜鷹を袈裟懸けに4人切った。

しかし「天知る地知る神ぞ知る」意外なところからこの事件が漏れてくる 。新吾の兄の小太郎は弟思い。母の違う弟を母から庇い無関心な父から庇った。

そしてやり場の無い周想感から 再び暴走に出る新吾 今も小太郎は弟を思い弟の後を追う。 そして・・ そこで見たものは。

『五郎治殿御始末』 で 戦乱の中でいっそう輝く「武士の魂」の気高さを描いた著者が 今度は 武士の観念に縛られない「人間らしさ」とは何かを考えさせる世界に私をいざなってくれました。 そしてそれは時代を超えた「男の悲哀」のようなものを浮かび上がらせてもくれました。

この物語には「不在の自由」を求める ささやかな抵抗の物語があり
 幕末から維新を舞台にした六つの短編には 人間の素朴な心情への哀惜の気持ちと 文明化のもとに人間らしさが失われていくことへの 「憤り」も見え 静かな共感を感じて読了したところです。
ニックネーム ハマの萱さん at 16:47| Comment(2) | TrackBack(0) | 読書と本

2008年12月08日

人影 「父の戦地」北原亞以子

≪いまも凶悪な事件が多発していて なんの罪も無い人達が亡くなっている
最大の不幸は国家が起こす戦争によって 
数え切れない人が死ぬことではないだろうか≫

太平洋戦争で戦争国の兵隊も日本国民も そしてアジアの国の人々も沢山死んだり負傷した人がいっぱいいました。 この出来事があったのは今から60数年前です。 もう約70年の昔のことかととも言えるし まだ70年経っていないとも言えます。

戦争のことは体験者も少なくなり 風化しているとも言われていますがこの本「父の戦地」北原亞以子著を読めば 決してそのようなことは無い。遺族に取っては今も心に深く刻まれた 悲しい出来事なんですね。

戦争は何故いけないか それは「子供たちから父親を奪ってしまうから」 この言葉より重い言葉はありません。

★北原亞以子さんの「父の戦地」
「娘に会いたい 声を届けたい」 父が戦地から幼い著者に書き送った70枚の絵葉書。痛切な回想記がここにあります。

『時に手描きの絵入りで葉書を送ってきた』 子供にも読めるように全てカナ書で。

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戦地ビルマ(現ミャンマー)の珍しい風俗や 自分の顔を忘れないようにと自画像を交え 小学校に入学する私の姿(北原亞以子さんのこと)を想像しては 返信を心待ちにしていた。しかし 終戦を前に帰らぬ人となった……。

ビルマから 多分激戦が続く南方の島に転戦する為 (軍事情報が洩れることを恐れ何も分からないそうです) 3隻の輸送船に乗船し出港を待っていたとき お父さんが乗っていた船が1隻だけ 航空機の爆撃で沈没して 戦死したのだそうです。

北原さんは 父親がせめて何も考えずに苦しまずに即死したのだと ご自分を慰めています。 残される家族のことを思って亡くなった そう心に言い聞かせていたのだそうです。

戦争は何故いけないか それは「子供たちから父親を奪ってしまうから」 この言葉より重い言葉はありません。

この言葉を読んだとき しばらく声が出ずページを読み進めることが出来ませんでした。

わたしの父親も3人の子供(わたしの姉と兄たち)を 母親に託して「北支」今の中国・北京以北に 看護兵として応召されましたが 終戦後無事復員しました。
もし戦死していたら わたしはこの世に生を受けていません。
ニックネーム ハマの萱さん at 17:32| Comment(4) | TrackBack(0) | 読書と本

2008年11月05日

人影 「あやし うらめし あな かなし」

≪怖い話や 怖い映画は 見たくもないし聞きたくも無い ましてや文章を読みたくもない という人は結構多い。 眠れなくて目がさえると さらに情景が浮かんで朝まで寝もやらず そんな経験ありませんか≫

「浅田次郎」さんの ほろりと懐かしく 読むほどに切なくなる七つの優霊物語(ジエントル・ゴースト・ストーリー)世に言う幽霊物語ではありません。

★内容は
@赤い絆
・奥多摩「御岳山」の宿坊に 陽も暮れた頃 若い男女の宿泊客があった。これだけでどういう男女か分かりますね。
男は宿泊名簿から東京の帝大生で 女は美人だけれど玄人筋 そして深夜「石見銀山猫イラズ」を飲んで自殺を図ってしまう。
身分違いで当然親に反対されての逃避行 女も娼家からの足抜け出追われる立場。
男は死ぬが女は少し吐いたのが禍して 胃や内臓が焼かれ山の上にて治療の方法が無い。 届けもままならず生きたまま死んだことにしてしまう。 そしてそれから・・・・

A虫篝(むしかがり)
・田舎の農家が真夏に害虫を退治するために夜焚く篝火に寄せて 会社を倒産させ家族と一緒に関西から東京の山奥に夜逃げしてきた男に 分身が現われる それは・・・・・

B骨の来歴
・久しぶりに会った高校の同級生の山荘に招かれた私は 彼が異常に年をとっていないことに気づき やはり独身を通すと違うなと羨ましがると 彼は「勝手に決め付けるなよ。俺はずっと昔に結婚しているよ。妻は暗くならないと帰ってこれないから まあゆっくりしていけ」と話に引き込まれて それから彼は 私も知っている夭折した高校のマドンナ佐知子との実らなかった恋の顛末を問わず語りに始めるんですね。
長い独白を聞き終わるころには私は彼の不思議な若さの秘密に気付き 愕然として山荘を去ろうとするが そのとき暗くなった森のかなたから・・・・

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C昔の男
・「昔の男」といわれたら 誰でも昔付き合っていた男のことだと思うでしょう 実は文字通りの「昔の男」のことなのです。
医大の古い卒業生名簿のある年度のところが 戦死・戦死・戦死と連なっている。 ある戦前から在る病院の看護婦が 結婚しても看護婦を続けるか迷っているときの 不思議な体験・・・・

D客人(まろうど)
・「客人」は独身のまま見送った両親のため お盆の迎え火をたく頃 ふとしたことで家に泊めることになった銀座の女が実は・・・という現代版の牡丹灯篭です。三遊亭円朝は恋する女の怨念の恐ろしさを おどろおどろしく語りましたが 「浅田さん」は 果たせなかった青春の日々への男の贖罪を 逃れえぬ絶望として書いています。

E遠別離
・現在の六本木の東京ミッドタウンは旧防衛庁で その前は麻布第一聯隊 東京都民と埼玉県民は召集令状が来たら入隊するところ。
ここの門から出征していった何万の兵士は どこかで南方で戦死している。
時は移って現代東京ミッドタウンの工事現場で警備の若者が 何かを見てわけも分からず「ありがとうございました ごくろうさまでした!」と 霧の彼方に向かって叫ぶ・・・・

Fお狐様の話
・早い話がやんごとなき姫君が「狐つき」になってしまい 家族から見放されて「憑き物落とし」の名人だった 御岳山の神官だった曽祖父に助けを求めて山に登ってくる。
しかし憑依がついたお狐の眼力が強く 魔物が勝ってしまう。
なすすべもなくその後 宿坊の水がめの大量の水がなくなったり ご飯を食べさせれば際限なく食べる。
食べるものをあげないとついには 布団の綿を全部食べてとうとう最後には・・・・

どの物語りも日本特有の神秘的で 幻妖な世界で起こる 哀しみと幸いの奇跡の極上の優霊集でした。

わたしは この物語の中では @の「赤い絆」とDの「客人」 そしてEの「遠別離」が良かったです。特に「ありがとうございました ごくろうさまでした!」と 霧の彼方に向かって叫ぶ・・・・ という箇所が心にジーンときました。

鉄道員(ぽっぽや)に繋がる 人々の心のひだが このような現象を見るのでしょう。人間は不思議な感情を持っていますね。
ニックネーム ハマの萱さん at 17:27| Comment(2) | TrackBack(0) | 読書と本

2008年09月25日

本 たけしさんの「学生時代」に読んだ本・続き

★「次郎物語」に続けて 名作「石狩平野」を知らない方にあらすじを記します。

船山 馨著「石狩平野」1965年頃 いまから40年前の作品です。

明治初期 貧しい小作農の娘 高岡鶴代の一家は開拓民として北海道に渡った。
13歳の時 小樽で開拓使の役人伊住家の女中になった鶴代は 伊住の息子次郎を愛するが悲恋に終わり 妊娠したまま鶴世代を良く理解している 壮太と結婚して一人娘の明子を産むのですが。

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荒涼たる北海道を舞台に 有珠山の大爆発で全財産を無くす壊滅的な被害を受けながら 度重なる大自然の猛威と時代の変革の怒涛を敢然と受けとめ 健気にも戦い抜く鶴代の明るく強靭な生涯を 明治・大正・昭和の時代を背景に 13歳から77歳の生き方を描く爽快な人間讃歌です。
昭和の戦争を軸に「お国のため」の軍国思想の中 鶴代だけはどんなに非国民と迫害されても 孫の青年に「戦争で死んでは駄目 生きて帰りなさい」と怯まない。

結局 子供も孫もすべてを戦争で失くし 曾孫二人が遺される。77歳にして再び曾孫とともに北海道の大地に戻る 鶴代おばあちゃんの強靭な精神に圧倒された記憶があります。

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昭和20年 敗戦が濃厚な東京 6歳の曾孫の和也と 学童疎開をしている姉の和子を迎えに和也の手を取り「行こうかね」と歩き出すところで物語は終わっています。
「どんなに不遇の時でも自分の生きる力で小さな光りを灯し、その光りで周囲を照らすような人間になるんだよ」というのが この小説の永遠のテーマですね。

後日談で 吉永小百合さんが主演した「北の零年」は この小説が下敷きで 吉永さんは「石狩平野」を映画にしたかったようですが 今も果たせないでいます。
ニックネーム ハマの萱さん at 16:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書と本

2008年09月17日

次項有 たけしさんの「学生時代」に読んでた本

≪もう久しく忘れていた書名を 思わぬ場面で聞かされて 自分の青年時代のことが鮮やかに蘇って見えた≫

NHK この人にときめき という番組に「北野 武」さんが ゲスト出演をしていた。
ベネチェア映画祭に出品した 最新作「アキレスと亀」など映画つくりの話から 学生時代に喫茶店で みんなが哲学書などを読んでいる時に「次郎物語」や「石狩平野」読んでいて 何故か揶揄された楽しいお話のインタビューでした。

TVを見ていて「次郎物語」と「石狩平野」を読んでいたのくだりで 久し振りに懐かしい本に出合った気がしました。
たけしさんも学生時代に読んでいたのだ。 インタビューの中で躊躇なくすっと書名が出るなんてこの二作は印象深かったのだなと感じました。

★ちなみにこの二作品を知らない方にあらすじを記します。

次郎物語は 何度も映画やTVドラマに 第一部少年時代の次郎を映像化されているので皆さん良くご存知でしょう。

『次郎物語』は教育者の下村湖人の長編教養小説で 1941年(昭和16年)から1954年(昭和29年)まで全五部で未完の作品です。

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幼少期に里子に出された主人公本田次郎の成長を 青年期にかけて描いていて 湖人自身の里子体験が反映されるなど 自伝的色彩が濃いとされ 児童文学として読まれることも多いでしょう。
しかし 第一部のあとがきからは 大人の読者を想定して書かれていることがわかります。

内容的には 家族や学校といった生活行動範囲の広がりに沿って主人公の人格的成長を描く第三部までと 五・一五事件・二・二六事件に集約される軍国主義的な時代背景や 主人公の精神的恋愛を作品の重要な要素として 社会性の広がりに沿って展開する第四部以降に大別できると考えられます。

第一部は「教育と母性愛」・第二部は「自己開拓者としての少年次郎」がテーマであると述べられている。
また、第五部のあとがきには 「戦争末期の次郎を 第六部 終戦後数年たってからの次郎を第七部として描いてみたいと思っている」とあり 少なくとも2巻を残して未完になっていますね。

第五部まで読むにはかなり根気のいるので 第二部まででその先を読まない人は多いと思いますが 時を変えて読了することをお勧めします。

第一部は 幼い頃に里子に出された次郎が 実家に連れ戻され家族間の葛藤の中で成長していくところから 一家の没落 母の死までが描かれています。

第二部は 母の死後父の再婚から 中学に入学し朝倉先生に出会い 「愛されようとすること」から「他者を愛することへ」自らの生き方を転換させていこうと 次郎が決意するまでが描かれていて 少年の成長を描いた作品は数多くあるでしょうが 次郎物語はその中でも群を抜いて優れた作品だと思います。

それは 少年の心理描写の緻密さと 物語としての不自然ではない面白さが群を抜いているからだと思います。
物語は たくさんの小さい出来事から構成されていますが ひとつひとつの出来事の描写が味わい深く 何度でも読み返したくなる小説ですね。

愛されないことからくる苛立ちからつい犯してしまう乱暴や失敗 大人に誉めてもらいたいがためのスタンドプレーのような行動 そしてその後にくるほろ苦い気持ち・・・子どもの頃なら誰でも覚えがあるのではないでしょうか。

この作品を読むと 少年の成長過程に 「大人」がいかにかかわることが重要であるかを思い知らされました。
大人が読めば 子どもの頃の気持ちを切々と思い出すこと間違いなしであるし 少年少女が読めば 夢中になって読み 自らの生き方について考えることができることと思います。

いまは学校の図書館にはあるようですが あまり少年期の部分でも読まれないようですね。
モンゴメリーの「赤毛のアン」に匹敵する 少年の成長を描いた名作だと思うのですが 今の子供たちには現実と思えないのでしょうか 残念な気がします。
ニックネーム ハマの萱さん at 17:20| Comment(2) | TrackBack(0) | 読書と本

2008年09月12日

本 こんな本を読みました

≪世の中IT時代 極力ペーパーレス時代 それでも毎月毎月夥しい書籍が発刊されている 痛勤時間に読むには文庫が一番です≫

読んだ本の始末に困って 泣く泣く古本店に美本を引き取ってもらいに行くけれど 単行本は100円程度 書店に並んで半年も経つとこの金額 え!え!なんて言ってしまいます。
嵩張る本は重いし電車の中では読みにくいので 買い手が付かず まだ書店に並んでいても買取価格は低下の40%程度ですって。

文庫は司馬遼太郎・藤沢周平・京極夏彦・宮部みゆきさんなどは引き取ってくれるけれど 外国物を含めてほとんど値が付かないようです。
何故か 買う人がいないんですって。 作家が亡くなってもドラマや映画化される人は根強く読まれるそうですよ。 差し詰め今は「松本清張」さんでしょうか。

そのような訳でとは違うのですが 読み終わった本は次の3冊です。
1.京極夏彦 「覘き小平次」

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一日中押入れ棚に引きこもり わずかの隙間から世間を覗く売れない役者小平次。妻のお塚は 一向にその不気味な性癖がおさまらぬ亭主に悪態をつく毎日である。そんなふたりのもとへ小平次の友人で囃子方の安達多九郎が訪ねてくる。
禰宜町の玉川座が 次回の狂言怪談の幽霊役に小平次を抜擢したという。一座の立女形 玉川歌仙の依頼を受け 奥州へと向かう小平次。
しかしその興行の裏には、ある仕掛けが施されていた…。

死霊が主役の怪談劇を 生者が主役の愛憎劇へと見事に変貌させている。小平次を嫌いながらも別れようとしないお塚。小平次を罠にはめる多九郎 小平次に父の屍を重ねる歌仙。本書は 死人のような小平次にいら立ち 自らの嫉妬・猜疑・憤怒を目の当たりにして人生を狂わせていく生者たちの物語である。
彼らが小平次の屋敷で繰り広げる凄惨なラストシーンからは 血生臭い匂いとともに やるせない哀しみが押し寄せてくる。

2.北原亞以子 「歳三からの伝言」

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新選組副長にして幕末一のモテ男・土方歳三。
賊軍とされて鳥羽伏見戦で京を追われ 江戸から末期の地となる蝦夷(えぞ)へ敗走しつつも 歳三は常に信じる道を突き進んだ。命を削る戦いの中で女を泣かせ だが多くの女を惹きつけた志士の生き様を 鳥羽・伏見の戦いから慶応5年5月の函館・五稜郭で戦死するその日まで 情感豊かに描く傑作長編時代小説です。

3.宮部みゆき 「あやし」

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その話が どういうふうに終わるのか おまえは ちゃんと聞いたのか?

どうしたんだよ。震えてるじゃねえか。悪い夢でも見たのかい……。
月夜の晩の本当に恐い恐い 江戸ふしぎ噺――。


十四歳の銀次は木綿問屋の「大黒屋」に奉公にあがることになる。やがて店の跡取り藤一郎に縁談が起こり 話は順調にまとまりそうになるのだが なんと女中のおはるのお腹に藤一郎との子供がいることが判明する。
おはるは 二度と藤一郎に近づかないようにと店を出されることに…。しばらくして 銀次は藤一郎からおはるのところへ遣いを頼まれるのだが おはるがいるはずの家で銀次が見たものは…。(「居眠り心中」)月夜の晩の本当に恐い江戸ふしぎ噺・九編。

さわりを読んだだけでも読みたくなる本ではありませんか。 これから秋の夜長を迎えます。 室内灯を消してスタンドの明かりで ブラックコーヒーを飲みながら読書するのも良いものですよ。
ニックネーム ハマの萱さん at 15:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書と本

2008年08月20日

バッド(下向き矢印) 「アメリカひじき」で思い出すこと

≪本の題名の中には そのまま読んだのでは何のことか分からないことがある しかしこの内容は哀しいな≫

毎年8月が近づいて来ると 野坂昭如さんの名作「蛍の墓」が話題になりますね。 今年も新作の映画には「松田聖子」さんも 主人公たちの母親役で出演して話題を呼びました。
「蛍の墓」では 節子の骨片が入っていたドロップ缶が 清太が衰弱ししたあと駅員が草むらに投げ捨てた。
そのドロップ缶のふたが開いて骨片が転がり出て そこに「ホタル」が舞う終章は 言い知れぬ悲しみに胸を塞がれ涙が止まりませんでした。

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この本の中に「アメリカひじき」という短編が 収録されているので読んだ方も多いと思います。

随分若いときに読んだので 筋書きは忘れてしまいましたが 終戦後アメリカ軍占領下の日本の世相に取材していて アメリカ軍の厨房から出た「紅茶の残りカス」を見た主人公が 「ひじき」と思って煮物を作る なんとも物悲しい 極端に食料事情が悪かった当時の庶民の暮らしに唖然としました。

確かに見た目は 少し赤っぽいけれど お腹の空いた人間から見れば「ひじき」にも見えないことは無いかもしれませんね。

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そうとう前に我が家の物置の隅に 今で考えると重さ40オンス(1.5kg位)の 名前も消えかかった丸い缶があって 振るとチャポンチャポンと音がしました。
子供だったので開けるのに興味があっても 中身がなんだか分からなくて開けるのが怖かったのですが 開けたら血の塊がドロット流れ出しました。
よくよく見れば臭いから「トマトケチャップ」 進駐軍(アメリカ軍のこと)から配給で配られたと母親が話してくれました。

しかし物が無いとき トマットケチャップなど昔の庶民は使いませんでしたよ。 上流階級の家でオムレツにしか使われなかったのに なんでこのような物が配給になったのかわかりません。
使いようが無かったので終戦後何十年も物置の隅に残っていた。
このあとなにやら日本は このような調味料でもアメリカの物量に勝てなかったのだなと 思った次第です。

いまは世界から何でも買える時代 珍しい食材を調理し食べられる時代 終戦後はなにも無かったと両親は話していました。 
ニックネーム ハマの萱さん at 20:36| Comment(4) | TrackBack(0) | 読書と本

2008年07月22日

黒ハート 呆から方へそして「宝」へ

≪時によって自分は何故生まれてきたのかと疑問にも思わず 食事は働くことによってもたらされる その考えに素直に従って生きている人もいる。 そのことが癒しがたい傷をもった人間の心を少しずつ溶きほぐしていく≫

☆宮部みゆき「孤宿の人」上・下を読んで

主人公の女の子“ほう”は 生まれてから過酷な境遇におかれ ほとんどほったらかしのような状態で10歳まで生きてきた。
“ほう”とは “ほう”を取り巻く大人たちから阿呆の”ほう”と言われ 本人も物覚えが悪く阿呆の“ほう”ですと応えてしまう。

生まれは江戸 大店(建具問屋)の若旦那が 性悪な女中と関係を持って生まれたということになっている。
“ほう”を生んだ母親は“ほう”を生んでからまもなく死んだと聞かされている。

若旦那の父親 大店の主人は“ほう”をやっかいもの扱いにして ほったらかせておけば死ぬだろうと思っていたが この子は何故か強運の子で生き続ける。
物心がつかないときから わずかな金で老夫婦に預けられ(体のいい捨て子) そこでも満足な食事も与えられず痩せ細り 躾や読み書きも教えられず 襤褸をまとい朝から晩まで雑用を言いつかり過ごしてきた。


江戸時代には大店などではこんなことが普通にあって 人間扱いもしない非道なことが多かったのでしょう。

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10歳なった“ほう”は 生まれた大店の家人が相次いで病の床に伏したところで 「たたりよけ」のために 女中をひとり付けられ 金比羅詣でに送り出されてしまう。 都合の良い話ですね。
讃岐の丸海港に着いたところで 長旅の疲れから病気になって倒れてしまう。 それまで いじわるで“ほう”を邪険に扱ってきたお供の女中に 有り金すべて持ち逃げされ ひとり江戸から遠く離れた地に取り残されてしまう。


ここまで読んでこの“ほう”の身の上に起きたことに なんでこんな試練が続くのかと 涙してしまいますね。

“ほう”は “ほう”を看病しその身の上に同情してくれた 丸海藩の藩医である井上家に行儀見習いの奉公人として住まわせてもらうことになったが おりしもこの地に幕府の罪人である加賀殿が流されてくる。

前半はもうひとつ盛り上がりに欠けますが 後半は一気に丸海藩が破滅に進んでいく。
そして“ほう”を取り囲む主要な登場人物が次から次へと死んで行く。 こんなに死なせなくてもと 思いつつ 終章では思わずぐっと胸が詰まりました。

いろいろな人の争い 理不尽な社会の姿を無垢な“ほう”と対比させることで 人の心の怖さが実に巧みに物語られています。

かわいそうな話で(阿呆からとった「ほう」という名前からしてすでにかわいそうでならない。

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丸海藩がお上の命令により加賀殿という身分の高い流人を預かったことで 粗略に扱えば幕府から咎められ 手厚く遇すれば罪人に何をしているかと どちらにしても丸海藩は厄介なお荷物を背負ったことになってしまった。 そして合い前後して次々と殺人や不可解な出来事が起こり人々は翻弄されていく。

そこには外から支配しに来た藩家と 土着で霊験あらたかで民衆に尊ばれている神社を祭祀している城代との確執が藩主交代という風聞まで出て 加賀殿を預かることにより表面化してくる。

この厄介なお荷物は「鬼」と噂され様々な災厄を招き寄せる… 先ず“ほう”に優しくしてくれた井上家の琴江の不審な死と牢屋敷廻りの怪我人。そのうち何故か“ほう”が幽閉屋敷に下女として奉公に上がることになる。

加賀殿は幕府の勘定奉行という重い役目についていたが あるとき家臣を惨殺し 妻と幼子二人も毒殺して 自害もせず乱心者として捕縛された。
これには表向きの取調べとは別に 目に見えない深い闇があって加賀殿は一切抗弁しない。

加賀殿は御家人から異例の抜擢で 幕府の中枢にまで上り詰めたことにより 政敵からの罠も見え隠れしている。
時の将軍が「たたり」や「怨霊」に異常なまでの恐怖心を持っていて 断罪する事にためらいもあったので 切腹させず罪人として丸海藩にお預けになったのである。
もとから「妖怪」「鬼」と呼ばれる噂が 江戸から世の中を席巻していた。


あるふとした事件から“ほう”は加賀殿から いろはや漢字の手習い そして算盤まで習うことになる。
そして阿呆の“ほう”から自分の進むべき道がわかってきたとき 加賀殿は“ほう”に方角 方向の「方」という文字を教え これからはお前の名は「方」であると名づける。


落雷によって丸海藩の守り神社が消失し 人々の中にある恐怖心が 噂や迷信などによって加速度的に膨れ上がっていく様は 冷静に見ればおかしいと分かるのだが 渦中にいればどんどん妄想に取り付かれていってしまう。

一つ不可解なことがあると 何かのせいにしないと恐くてならないという人間心理が巧妙に描かれ クライマックスへと向けて煽られていく。
純粋無垢な眼を持つ“ほう”の真の強さが 最後まで人々を照らし続けているところに この物語の救いがある。

全てが関連していて 納得できるような人物描写にはいつも本当に感心します。
そしてそのまま心地よく読み進むと作家の仕掛けた伏線が 次々と撚り合わされひとつの答えに向っていることにやっと気付く。

悲しい話には違いないが “ほう”の純真無垢さが「鬼の心」を穏やかにさせ そして全ての事件が加賀殿の怨霊の仕業ということで 葬り去られたことにより事件は終わる。

加賀殿の言いつけで 幽閉屋敷から丸海藩にかってなかった様な大雷雨の日に逃げ また井上家に養われた “方”に 亡くなった加賀殿から文が一通届けられる そこに書かれた文字は「宝」 。 “ほう”が方になり最後には「宝」… “ほう”の姿が深く印象付けられる結末です。

“ほう”の健気さに胸打たれ この子には幸せが訪れることを こころから願っているのに気付いて 再度涙します。

作者はこの物語を執筆するに当たって ひとりの少女の成長を 困難な境遇の中で見たかったと述べています。それは見事に結実していました。

作者の意図は十分に生かされていると感じました。
映画化されることを期待しますが“ほう”の役は 誰ができますか 人選は難しいでしょうね。
ニックネーム ハマの萱さん at 11:16| Comment(2) | TrackBack(0) | 読書と本

2008年07月03日

家 アルゼンチンババア

≪映画でも本の題名でも ネーミングって結構大事だと思うのです この本など作家のことを何も知らなければ 手に取らないでしょうね≫

「よしもとばなな」さんの作品で 映画にもTV作品にも2年前になりましたから 良く知られた小説ですね。

映画もちょっとだけCMで見ていて 前から本を読みたかったのですが 近くの書店に無くて そのうちに入荷すると思い注文するのもそのまま ネット購入も何やら面倒なので 忘れていたらTUTAYAに105円で 数冊書棚に並んでいたので買い求めました。

文庫で80ページですから 1時間ちょっとで読み終わりました。

主人公は18歳の「みつこ」 彼女の目を通して 母親の死 それに続く父親が家も仕事も処分して 彼女に多額の預金を振り込んでから いなくなってしまう。 しかし「みつこ」には父親が何処に行ったか確信を持っていた。このあたりは伏線があって読ませてくれますね。

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母が亡くなって それまでの私と 亡くなったあとの私 平凡だった世界が消えた。

「ひとりっ子の私が母の死に立ちあって、何を受けとったかはうまく言えない。でもそれはいつでも私の瞳に宿るようになった。ある光として表現が出来る。鏡をみると、私の目にはこれまでになかった、何かを受けいれる大きな力が宿っているのがわかる。 だから、私は、きっと大きな贈り物をもらったのだと思う」

こういう書き出しは「よしもとばなな」さんの 真骨頂ですね。 これだけでばななワールドに嵌ってしまいました。

墓石の製造と販売をしていた職人気質の石屋の父親。 昔はお墓のコーディネイトもして 忙しくしていた時代も様変わりして いまでは墓石も外国に注文し注文どおりの完成品が届く時代に変わってしまった。そのような訳で 仕事が減るばかりのとき 妻が闘病後死んでしまう。

街外れの廃屋みたいなビルに住む変わり者ので有名なアルゼンチンババア。 母を亡くしてからしばらくして 「みつこ」は自分の父親がアルゼンチンババアとつきあっているという噂を耳にした。思い切ってアルゼンチンビルを訪ねて目にしたものは。

このアルゼンチンババアの存在そのものが謎で(これも読み進めていくうちにぼんやりと輪郭が現れてくる) 父親が母が亡くなってから半年もしないで なにやらいかがわしい女性のところに転がり込んだ それは文字通り転がり込んでいたんです。

若い18歳の娘としては普通感情的にはいやらしく 肯定出来る事柄ではないですよ。
しかし父母の今までの生き方や 父親が一生懸命生活してきたのを見てきて 何故か「あなたがみっちゃんね」とアルゼンチンババアに抱きしめられたとき 全てゆるしてしまうんですね。

「みっちゃん」の考え方が 極めて健全で 父親の考え方も至極はっきりまっとうで こちらもほのぼのとした愛情を感じさせてくれました。

アルゼンチンババア(実は50歳)と父親の間に 母親違いの弟も生まれて 「みっちゃん」はこの上なくこの弟が可愛い。

アルゼンチンババアは子供を生んでから体調を悪くして6年後には死んでしまう。

そして父親は俺が元気なうちに 三人でアルゼンチンババアの故郷 アルゼンチンのまだ生きていると思う遺族のもとへ 遺骨を届ける旅の相談をしてこの短い小説は終わります。

妻を亡くした男の思い 自分の行動を他人がどんな噂をしようが 俺は俺 娘には一緒に暮らしていなくても 家族というのは何かというのが良く伝わってきます。 まだ読んでいない人は一度読んでみてください。
ニックネーム ハマの萱さん at 19:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書と本

2008年06月24日

喫茶店 山田詠美「風味絶佳」から 其のA

≪この短編6作品のは 唐突に終わってしまい 読者は現実の海に放りり出されてしまう。 あとは余韻に浸ることなく 作者の意図を探ることに神経を研ぐ作業が待っている≫

この本のタイトルにもなっている『風味絶佳』は 其の@の三作品とはちょっと趣むきが異なっています。

大学進学ではなくガスステーション(ガソリンスタンドのこと)に就職を決めた志郎が
その職場で見つけたアルバイトの女の子に恋をして付き合いはじめる という流れは変わりませんが その恋愛は最終的には実ることなく終わってしまうことになる。

ようするに志郎は失恋してしまうわけであるが この作品のメインは志郎というよりも むしろ彼の祖母である不二子だと言っていいでしょう。
横田基地の傍でスタンド・バーをひらき アメリカ被ぶれで 孫に自分のことを「グランマ」と呼ばせ そしていつも助手席に若い男を乗せて真っ赤なカマロを走らせている七十過ぎの不二子は その歳になってなお「老人」ではなく 「女」としての性を生き続けている。

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という意味で非常に強烈なキャラクターであるが そのエネルギーがどこから来ているのかといえば 彼女がそれまでの人生で経てきた数々の恋愛の――けっして甘いものだけではない思い出であることは間違いない。
そして その思い出は 彼女にとっては過去のものではなく 現在でもあるのです。
老人は老人らしく などという世間体などどこ吹く風というふうな 彼女の自由奔放な生き方は 決して不快なものではなく羨望さえ抱かせてくれます。

世間体との対立がもっとも顕著な『春眠』は 同じ大学の同級生だった女性で 章造がひそかに想いを寄せていた弥生が こともあろうに章造の父親と結婚してしまうという展開であり それまで威厳のあったはずの父親が すっかり弥生との蜜月におぼれてしまっている姿に 章造はいらいらさせられっぱなしというお話で 現代の若者が仕事や社会に振り回され 世間体に囚われている感情を 妹と対比して鮮やかに描いて見せてくれました。

『海の庭』では 夫と離婚して実家に戻ってきた母が 今は引越業者ではたらいている幼なじみの男性と親しくなっていく様子を 娘の視点から描いたもので もどかしい初恋みたいなお話で 母親の母代わりみたいなしっかり者の娘が良く描かれています。

そこにあるのは、見様によってはなんともみっともない恋愛の形であるが 逆にいえば この本に書かれた恋愛は 世間体や観念などで左右されることのない 純粋な心の感情であり だからこそ そのみっともなさすらも美しい恋愛として成立してしまう ということでもあるんですね。

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そもそも 其の@で紹介した三作品にしても 決してその蜜月がそのまま続いていくわけではないことを 大人になって気づくということ。
ままならない恋愛 という意味では いずれも共通したものをこの短編集は収めています。

書くまでもないことですが ファーストキスはレモンの味なんか しませんよ。
そこにあるのは 恋愛に関して未熟だったがゆえに破局してしまった苦い経験――恋愛の甘酸っぱさを言い表したものでしょう。

恋をするってことは 決して楽しいことばかりではない。 それでも おそらく誰もが自分のために生きているなかで 自分以外のために何かをしてあげたい という心が交じり合う恋愛感情は あるいは人間がもっとも人間らしく生きていける瞬間なのではないか と 思わせるものが この本の中には確かにありました。

きっと山田詠美さんにとって そしてこの短編集の登場人物にとって 恋愛は甘酸っぱいものではなく 滋養豊富で風味絶佳な森永ミルクキャラメルのように ひたすら甘くて 生きる糧となって体に染み渡っていくものなのでしょう。
ニックネーム ハマの萱さん at 17:00| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書と本

2008年06月16日

本 山田詠美「風味絶佳」から 其の@

≪面白そうだなと思って手に取った小説が 思いがけず濃厚な恋愛小説だった場合がある。 この本などまさにそのとおりの小説でした≫

「日頃から、肉体の技術をなりわいとする人々に敬意を払って来た」という山田詠美さんが 文筆業20年の記念に それらの男を主人公にして書いた短編集です。

この中の6編はそれぞれに味わい深く 作品の安定感は抜群で 何かを感じさせる素晴らしい「恋愛小説」でした。

ある男性が特定の女性に強く心惹かれていく。ある女性が特定の男性に恋焦がれていく。
山田詠美さんの小説は 「恋愛小説」であっても 何かを含んでいるメッセージと捉えてしまう場合がありますね。

『風味絶佳』にかぎらず 山田詠美さんは 恋愛をテーマに小説を書くことは 息をするのと同じくらい自然なことなのでしょうね。 そして恋をしている男女の姿が本当に微笑ましく また清々しく思える作品でしたと言うのが 読後感でした。

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実際 この本に収められた六つの短編に登場する人々は 何のてらいも躊躇もなく相手を好きになり それこそ息をするかのように相手にすべてを預けて飛び込んでいく。

『間食』に登場する花は とび職の青年雄太とじゃれ合うような愛をかわし また加代は雄太の足りないものを全て補っていく 母親のような存在として彼と同棲するという関係をもっている。

『夕餉』の美々ちゃんは 既婚女性であるにもかかわらず 都内のごみ収集作業をする青年「紘」と恋におち 夫のもとを飛び出して彼と生活を共にしている。

『アトリエ』では 排水槽や貯水槽の清掃をおこなう男の視点から書かれていて その裕二もまた麻子という女性と恋に落ちて結婚し この上なく慈しみあいたいという気持ちで接することを忘れない。

そこにあるのは 気持ちのいいほど清々しい「二人だけの世界」にはまり込んでいる男女の姿なのですね。

これらに登場する女性たちが 一見すると相手の男性に依存しきっているように見えながら じつは男性以上に強い意志をいだいて 恋愛をしているのがわかってくるんですね。 見事な筆致ですね。 
続きは次回 其のAに続きます。
ニックネーム ハマの萱さん at 20:50| Comment(2) | TrackBack(0) | 読書と本

2008年06月01日

本 本を買っても積読だけじゃだめだな

≪最近は電車通勤をしないせいか 読書がはかどらない≫

単行本は嵩張るのと重いので もっぱら文庫本で我慢しているけれど 今話題の本ではなく 発刊から3年くらい経っているので 書評からみても当たりはずれが無いけれど 読むペースが遅いので積読の状態が続いているのが情けないです。

★最近読了した物・読みかけのもの
我らが隣人の犯罪.jpg メイプル・ストリートの家.jpg 殺意のコイン.jpg なにもかも二倍.jpg

@我らが隣人の犯罪  宮部みゆき
・僕は三田村誠 中学一年生 父と母そして妹の智子の四人家族。僕たちは念願のタウンハウスに引っ越したのだが 隣家の女性が室内で飼っているスピッツ・ミリーの泣き声に終日悩まされることになった。
僕と智子は 家によく遊びに来る毅彦おじさんと組み ミリーを誘拐したのだが・・・・他五編

Aメイプル・ストリートの家  スティーブン・キング
 ・母親をいじめる邪悪な継父を亡き者にしようと 兄弟妹たちがとったとんでもない作戦。
死を間近にした祖父が 林檎の花びらが舞う果樹園で 孫息子に語って聞かせた”指示”とは(可愛い子馬) など他に三編。

B殺意のコイン  ロバート・B・パーカー
 ・血を流して横たわる被害者。何者かに頭を撃ちぬかれたのだ。
そのかたわらには三枚のコインが……二十年前にボストンを震撼させた連続殺人鬼が犯行を再開した。
かつて捜査を担当したサニーの父、フィル・ランドル元警部のもとにも、犯人からと思われる人を食ったような手紙が届く。闇に消えた殺人鬼が舞い戻ったのか? 父に協力するサニーは、一人の男に焦点を絞り、危険な賭けに挑む。息づまる対決を描く。

C何もかも2倍  よしもとばなな(これは読みかけ)
 ・ハワイで奇跡のような夕日に照らされ ローマで憧れのダリオ監督に出会う。
旅と大切な人との出会いを重ねながら 新作小説の完成を目指した一年間。よいことも悪いこともドカンときた出来事の数々と 日々の思いが詰まった作品。
そして美女たちを瞬時にメロメロにする チビちゃん語録も絶好調の日記。

☆まだ読んでいない本  
国境の少女.jpg 百鬼夜行.jpg 風味絶佳.jpg

@国境の少女  ブライアン・マギロウェイ
 ・場所はアイルランド 北でもない南でもない虚ろな場所で 少女は冷たくなっていた。
愛・死・分断の哀しみを描く ボーダーランド・ノワール

A百鬼夜行・・・陰  京極夏彦
 ・「妖怪」はいずこより来るのか・・・。人の心は闇にあらねども 揺ぎ無いはずの世界が乱れた時 その裂け目から怪しきものが湧き出し 取り付く。
日常に潜む恐怖を描く十の短編集。

B風味絶佳  山田詠美
 ・70歳の今も真っ赤なカマロを走らせるグランママは ガスステイションで働く孫の志郎の ままならない恋の行方を静かに見つめる。
ときに甘く ときにほろ苦い 恋と人生の妙味が詰まった6編の小説。

@ABはどの本から始めますか @Aはページ数が多いので 山田詠美さんの「風味絶佳」から 読みましょうか。
でも 興味を引く本が発行されたら 何時読むかわからないけれど また購入してしまうでしょうね。
ニックネーム ハマの萱さん at 08:52| Comment(2) | TrackBack(0) | 読書と本

2008年05月14日

本 宮部みゆき「誰か」を読んだ

≪日常何気なく見逃していて 事件が起きたとき「あの人が そんなことをするなんて」と 絶句することがある それに近いお話です≫

杉村三郎35歳 妻子持ちのサラリーマン。しかし妻の父親は大財閥「今多コンツェルン」会長の今多嘉親で 「三郎」は会長室直属のグループ広報室で記者兼編集者として働いている。
すでに他界した妻の実母は「嘉親」の正妻ではなく 三郎も後継者として婿入りしたわけではないが 「逆玉の輿」であることに変わりはなかった。

これだけで何やら事件臭い展開が待っているようではないですか。 これが市井のささやかな出来事から重大な事件に発展していく 「宮部ワールド」の真骨頂ですね。

ある日「三郎」は義父から妙な依頼を受ける。「嘉親」の口が硬く運転の上手い 休日だけの個人運転手を長年務めてきた「梶田信夫」が 自転車に激突・轢き逃げされて命を落とした。
残された二人の娘が父親の想い出を本にしたがっているので 編集者として相談に乗ってやって欲しいというのだ。 これが出だしです。

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姉妹に会うと 妹の「梨子」は本を出すことによって 犯人を見つけるきっかけにしたいと意気込んでいるが 結婚を間近に控えて父を失った姉の「聡美」は そう上手くいくはずがない と出版に反対しており 結婚の延期も考えていることがわかる。

ところが 「聡美」が反対する真の理由は別にあった。彼女は 妹には内緒という条件で 「三郎」に真の反対理由を打ち明けた――運転手になる前の父は職を転々とし よくない仲間とも付き合いがあったらしい。

玩具会社に就職してようやく生活が安定した頃 聡美が4歳の時 彼女は「父に恨みがある」という人物に "誘拐" され 怖い思いを味わった。
そのあと一家は玩具会社を突然止め 「信夫」はタクシー会社に就職しその後は順調に過ごしてきた。

これだけでも相当なキナ臭さですよ。 4歳の娘が誘拐されたことでも十分事件性があって おまけに幼い「聡美」は 誘拐犯の女から「すべて父親が悪いのだ」と 聞かされていた。それが父親「信夫」が不慮の事故で死ぬまで封印されていた。 さあどうなるのでしょう。

再びそんな父の人生を梨子に知られたくない――と。さらに「聡美」は、父の過去の悪い縁が今も切れておらず 「あれは偶然に起こった轢き逃げなんかじゃなくて、父は狙われていた」 そして殺されたのではないかと思うのです」と訴えるのだった。

三郎は、姉妹のそんな相反する思いに突き動かされるように、「梶田」の人生をたどりなおし始めた・・・・・・。
何故その日 「梶田」が見も知らぬ場所にいたのか 「梶田」の見えぬ闇の中に入って行くしかなかった。

結末は書きません。 賢い「聡美」は誘拐されたとき 怖くて怖くて母親が何故か迎えに来たことは憶えていても その後両親は一度もそれに触れずに30数年が過ぎた。 さあ何があったのでしょうか。

日常真正直で 小心な人々に起こった出来事を 大いなる伏線を仕掛けて 読者に挑戦する「宮部みゆき」さんは絶好調ですね。
ニックネーム ハマの萱さん at 20:48| Comment(2) | TrackBack(0) | 読書と本

2008年04月03日

プレゼント やがて奇跡が訪れて

≪先に紹介した イサク・ディーネセンの「バベットの晩餐会」 この本は読む人をとても幸せにしてくれます。ペンネームは男性名ですが 実はデンマークの女性作家カレン・ブリクセンです≫

書き出しは短く おもちゃのような家々が建っている ノルウェーのフィヨルドの小さな村を紹介したあとに この物語は次のような言葉で始まる。

「六十五年前 その一軒の黄色い家に もう若い盛りもとうに過ぎた 中年のふたりの姉妹が住んでいた」
このプロロ−グを読んで これから何が起きるのかなと胸がときめきましたね。
そしてこの物語のはじめは 更に30年の年月を過去に遡って語られていくんです。

二人の老嬢が父親と牧師館に住み まだ妖精のように美しかった頃 遠い世界からその村を訪れながら 厳しい掟と生き方に阻まれ 成就せぬまま去って行った二つの恋があった。

そのひとり放蕩無頼の青年仕官は 姉娘を一目見たときに恋に落ちたが 牧師の説話や姉妹を見るうち つき物が落ちたように今までの生活態度を改める気持ちが沸いてくる。しかし一言も恋心を打ち明けぬままこの村を去っていく。
そうです。 この牧師館には何かひとの心を変える要素が満ち溢れていたのです。

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それから十六年後の1871年 フランス革命・パリ・コミューンの弾圧から逃れたバベットが かって妹娘の天声の歌声に引かれて指導したが 失意のまま去っていった男の紹介状を手に 淋しいフィヨルド村の姉妹の元へ亡命してくる。

やがて十数年が経って奇跡の時が訪れる。バベットに宝くじが当たり賞金の1万フラン(500万位か)を得る。牧師の生誕100年を祝って バベットはその賞金で「晩餐会」を開催することを姉妹に提案する。

その「晩餐会」で 不和の人々は和解し 結ばれなかった男女も実は生の日々をともにしたのだと知り 晩餐会に出席した12人の人々が深夜家路に着くときに 驚くほどの星空とともに止んでいた雪が 1時間後には家々を埋めるほどの大雪になり人々は深い眠りにつく。

そして最後に 女主人公バベットの過去が 圧倒的な力に溢れた姿で現れてくる。なぜ「晩餐会」に賞金を全て使って開催したのか。

寓話的な語り口で “美”こそ最高とする芸術観・人生観を表現し 不思議な雰囲気の物語でした。
ニックネーム ハマの萱さん at 19:50| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書と本

2008年03月25日

野球 黒人初の大リーガー「ジャッキー・ロビンソン」を知っていますか

≪古き良き時代のアメリカ 休日になれば男は野球放送に夢中になる まだTV放送が無く ラジオに耳を傾け大人になった少年の姿がそこにある≫

私の好きな作家 ロバート・B・パーカー著 ダブルプレイは太平洋戦争後1947年に 黒人初のメジャーリーガーになった ブルックリン・ドジャーズに在籍した選手を中心に 著者の分身ともいえる少年の語り手と 「ジャッキー・ロビンソン」のボディガードの その時々の思いを軸に パーカーの円熟した筆で ノンフィクションではなくフィクションで語られています。

日本軍と戦い瀕死の負傷をし こころに傷を負いながらロビンソンを守ることで 生きている証を刻んだ男の厚い友情とがない交ぜになった スペンサー・シリーズの著者が新境地を切り拓いた 新しいハードボイルド小説の傑作です。  

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第二次大戦で身も心も深い傷を負った ジョゼフ・バークはアメリカに帰還した。妻に去られ 彼はボクサーへの道を歩むが挫折し やがてニューヨーク市の実力者の娘ローレンのボディガードとなる。

だが二人が心を通わせはじめたことを妬んだ ローレンの恋人大物ギャングの息子ルイスとの争いが原因で バークはボディガードの職を解かれてしまう。

しかし彼は新たに ある男のボディガードになった。
その男とはブルックリン・ドジャースの新人選手で 黒人初の大リーガー ジャッキー・ロビンソンだった。
1947年4月 ロビンソンはデビューするが 予想通りプレー中に悪質ないやがらせを受けた。


この時代 白人の優越主義があり黒人はあらゆるところで差別をうけていたんですね。同じチームでプレイする同僚からあからさまに差別を受け ロビンソンが一塁手で出場するときにはボイコットする。
チームで相手チームとの試合で移動しても 一緒のホテルには宿泊できない。黒人専用ホテルに一人だけ別に泊まる。食事をするレストランも黒人専用地域でないと出来ない時代で 相当な差別でこのことを白人は気にもしていない時代でした。

球場の外でも差別をされたり 脅迫の手紙が届いたりしたが バークの助けもあって屈することはなかった。
だが やがて事件は起きた。黒人が集まるレストランで イタリア系ギャングのパグリアと暴力沙汰を起こしてしまったのだ。
その場はなんとか治まった。が この事件が引き金になり やがてロビンソンとバークは命を狙われることに…。


著者の分身とも言える少年が15歳の時 ボストン・レッドソックスとドジャーズの試合を観戦するために 一人でボストンに実在した「エベッツ・フィールド球場」へ出かけた状況が秀逸です。

地元チームを応援するのが当たり前のとき 少年はドジャーズ贔屓なんですね。ボストン在住の黒人はロビンソンがプレイすることもあって 三塁側に陣取っている。その中に一人だけ白人の少年が座っている。
少年の心と黒人の心が一つになった とても印象に残る名場面です。

プレーヤーとしてのジャッキー・ロビンソンは その時あった黒人リーグのスタープレイヤーではなかったそうですが ドジャーズのゼネラル・マネージャー「ブランチ・リッキー」の判断で ロビンソンが忍耐強く人と争う性格ではなく 黒人メジャーリーガーの先駆者になると確信していたからだそうです。

ロビンソンをきっかけにその後 続々と黒人メジャープレイヤーが誕生しました。ドジャーズが本拠地をロスアンゼルスに移したとき ロビンソンもジャイアンツへの移籍の話があったようですが 恩あるドジャーズに感謝をし 9年間のプレイでメジャーを去ったということです。
     
ニックネーム ハマの萱さん at 18:11| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書と本

2008年03月14日

本 北原亞以子「商売大繁盛」から

≪小説の出だし書き出しの良さは その話の展開に強い期待感を持たせてくれます 作家の力量が問われますね≫

北原亞以子さんは私の好きな作家で 江戸市井もの人情話に優れた作品が多いですね。
「深川澪どおり木戸番小屋」や 「慶次郎縁側日記」シリーズがその代表作ですね。

短編でもきらりと光る佳作も 捨てがたい味わいがあって 新作がでるのが楽しみです。

★それでは 最近読んだ「妻恋坂」の中の「商売大繁盛」から 
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「夏の不忍池は、蓮の花に埋めつくされる。少し曇った日の、とろりと眠たげな花の風情も捨てがたいが、よく晴れた日の、花の香りを風がはこんでくる明るい光景もわるくない。水面いっぱいにひろがった葉も花もかすかに揺れ、陽射しの加減で思いがけぬ陰ができたりもする。」

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どうでしょう 情感が文字の間から匂って来ませんか 文字の表現も十分に考えられていると思いませんか。

話すの筋は 流行っている料理屋の女将が 修行中の若い板前と出来てしまい その現場を料理屋を経営している旦那に見つかったことから 話が始まる これには二重三重の裏があって・・・・。

最初は色模様だったのが 世間を知らないと思わぬ陥穽にはまって 身を滅びしかねないという人情話です。

それにしてもやはり話の入り口 この先読み進めようと気にさせる書き出しは 作家の力量が試される大事なところですね。
ニックネーム ハマの萱さん at 12:00| Comment(2) | TrackBack(0) | 読書と本

2008年03月06日

本 やっと読み終わった「半身」

≪一行40字・一頁18行・総ページ500 文庫一冊でこの活字の量 おまけに想像力を総動員しないと 中身が解らない 本当にシンドかったです≫

2003年の外国ミステリー小説NO1に輝いた サラ・ウォーターズ作「半身」です。同じ作家の「荊の城」は上下巻なのでもっと大変でした。

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第一部から第五部まであって 第四部まではこのミステリーはどう進むのか ひたすら耐えて読み続けていました。
ミステリーの舞台は20世紀始めまで ロンドンのテームズ河畔に実際にあった巨大な石の獄 「ミルバンク監獄」 ここは「一望監視装置」 中央の塔から全ての監房が見渡せる牢獄なのです。

★半身のあらすじ

hansin1.jpg 表紙絵はマグダラのマリア

19世紀の終わり頃ヴィクトリア期ロンドンの上流階級に属する孤独で繊細な未婚の女性 マーガレットが書き残した「心の日記」と やがてその「半身」として結び付けられ 濃密で妖しい交情を深めることになる ミルバンクの女囚で美しい霊媒 シライナの手記を交錯させながら 徐々に明かされていく女たちの秘められた過去の物語です。

「霊媒」は 過去と現在を仲立ちする語り部として登場し 現在でも狂信的に信じる人たちがいますね。この儀式を「交霊術」とも言います。
霊媒が主人公みたいなミステリーですから とても夜遅く読むような本ではありません。 と 言うほどでもないかな。

そして一気に狂おしいクライマックスに達したかと思うや 思いもしなかった残酷な結末へと到る。
作者の「魔術的な筆さばき」にふさわしい あらゆるところに伏線が張られて 緊密に造形されたミステリーですね。

主人公マーガレットが慰問に訪れるミルバンク監獄とは 彼女の肉体を縛る心の象徴で そこで出会うシライナは彼女の 欲望そのものの形を表していると見るのでしょうね。
シライナの支配霊が語るように 霊媒(肉体)とは霊(心=欲望)の奴隷である。と だからこそ この作品はマーガレットの「心の日記」といえるのですね。

何処までが現実で どこからが夢なのか シライナの過去の記述と マーガレットの現在の日記が交互に語られ いや〜結構神経の疲れるミステリーです。 最後まで読み進んだ方はどのくらい いたのでしょうか。
ニックネーム ハマの萱さん at 20:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書と本

2008年01月09日

リボン リバティプリントのこと

≪しばらく重い主題を投稿しますので ここでちょっと脇道に寄って行きます≫

いまネビル・シュートさんの「パイド・パイパー」を読み続けています。

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時は1940年 現役を引退したイギリスの老弁護士が 第二次世界大戦の暗雲漂うときに 社会に役立とうと思っても 老人の出番がなく退屈しきっていた。
そこで 昔 フランスの片田舎で「つり」をした楽しい思い出があり 道具をそろえて旅たった。

けれどナチスのドイツ軍が 思ったより早くフランスに進撃したため 急遽イギリスに帰ることにした。
そこにホテルで知り合った「国際連盟」の職員から 10歳に満たない子供を二人をイギリスに連れて行く羽目になる。
ところがこの「パイド・パイパー」とは ハーメルンの笛吹き男の意味があります。 
そうです 老弁護士はいろいろな事情から5人の子供を預かるようになってしまう。
鉄道でカレーに行き そこからロンドンに2日後には到着出来るのに ドイツのフランス占領が思いのほか早く とんでもない難民となってフランスをさ迷うことになってしまうのです。

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その中でイギリスの有名なリバティプリントの 子供用ワンピースのことが出てきました。
肌触りが良くて 男のプリントシャツも着心地が良くて好きですね。
フランスの片田舎の洋品店でも取り扱っているほど 評判が良いプリントだったなんて楽しいですね。ターシャ・テューダさんも着ていたのではなかったでしょうか。

パイド・パイパーはあと四分の一です。さあみんな無事でイギリスに帰れるのでしょうか 善意の塊の人に助けられているので大丈夫でしょう。 それでは読後の感想はまた別の機会にします。
ニックネーム ハマの萱さん at 21:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書と本

2007年12月09日

カメラ 土門 拳「風貌」に寄せて

≪今までにたくさんの本を読んできて 人間は成長していく過程や その時々の心境で読書感想も変わってくる 見えないものが見えてきたり 作者の意図が心に沁みたりしてくる≫

わたしの手元に3冊組の文庫版の写真集があります。書物が増えて整理しなくてはいけなくなった時でも 川上澄夫さんの文庫版・版画集13冊と一緒に手放さないで置いてあります。
それは日本を代表する写真家 土門拳さんの人物写真 『風貌』 です。

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土門拳さんは様々なジャンルにすぐれた作品を残していますが その中でも『風貌』は傑作として高い評価を得ている写真集です。
この作品に共通しているのは 一瞬の表情をとおして 時によっては人物の内面 果ては人格までも赤裸々に写しだそうとする執念がこもっていることにあります。
著名人が独特のポーズを執って カメラのレンズを見返していますが 人物によっては緊張が解けた瞬間 被写体が意図しない表情を非常なまでに切り撮っています。 これは恐ろしいともいえます。

土門さんの有名な言葉 「肖像写真とは、カメラを通して描く、写される人自身の、いわば自画像である」。を 各世界で大きな実績を残した著名人の姿は また時代を写す鏡でもあるといえるでしょう。

明治・大正・昭和の日本をリードした人物像に鋭く肉迫し 火花が飛びかった撮影現場のエピソードも含め 各界の著名人136人が収められています。
それだけに 1枚の写真から伝わってくるのは 極めて興味深く 見るものを飽きさせません。

その中でも興味を引くのは 俳人の「高浜虚子」 廊下に出て庭を見るともなしにぼ〜っとした立ち姿は普通は公開をためられるでしょう。
そして日本画の先生たちは飾らずカメラの前に座っていますが 江戸美人画「鏑木清方」 穏やかな風貌で 土門さん曰くいつカメラを構えてもそこにいたといわせていました。
細菌学者の「志賀 潔」 終戦後の混乱で宮城に在住していたとき 極貧の生活をありのまま撮らせた姿に心が打たれます。

「風貌」という書名は その人らしさが感じられるぴったりの表現です。
多くは威厳たっぷりの「風貌」たちが多いのですが 土門さんが撮影で寄せた文章は それらの人の意外な面も教えてくれて大変興味深いです。そして土門さんの本当のすごさは 目に見えないものを確実につかんで離さないところにあり 見えないものまで写す力は写真にではなく 写真家にあるのだということがよくわかる作品です。

これからも時に書棚から出して じっと「風貌」を見続けて行きたいと思っています。
ニックネーム ハマの萱さん at 20:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書と本

2007年11月22日

本 「荊の城」このミステリーは面白い

≪いまこのミステリーを読んでいる。WOW0Wで最近放映され 前半をみて俄然興味が出てきたので アマゾンで上下二巻を購入した≫

昨年末の『このミステリーがすごい!』「週刊文春」ミステリベスト10で『半身』がダブル1位となった 英国の作家サラ・ウォーターズによる傑作ミステリー!です。

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掏摸を生業とし ロンドンの下町に暮らす15歳の孤児の少女スウ。彼女に顔見知りの詐欺師がある計画を持ちかける。狙いは ある令嬢が相続するはずの巨額の財産。はたして計画の行方は? というのがそもそもの始まりです。

19世紀ヴぃクトリア女王統治のイギリス 泥棒から盗品を買って売りさばく鍵職人の親方 そして貧しさから子供を育てられない母親から 赤ん坊を引き取って育て 金持ちの家への養子や 子供を労働の対象にしている人間に売って生活している スウには優しいおばさん。 取り巻く人間模様は「オリヴァー・ツイスト」の世界を思い出させます。 

ヒロインは二人 「令嬢のモード」 「侍女のスウ」 騙すつもりが逆に罠に嵌められてしまう筋書き。 二人のヒロインの生れるまでの数奇な運命に 母親の死の影が色濃く付きまとっている舞台設定。

第一巻の前半は「スウ」の方から見たモードと 古色蒼然としたブライア城。 後半は「モード」の数奇な生い立ちと ブライア城と伯父の束縛から逃れる モードの心の葛藤が丁寧に語られています。

なかなか心理描写が的確に描かれていて 第二巻へ読み進めるのが楽しみです。

英国で第1位に選ばれた小説「荊(いばら)の城」を英国BBC・TVがドラマ化し 2005年3月に放送されました。
11月始めにWOWOWで放映され 再放送は12月17日(月)です。

第一巻を読み終えましたが これは用意周到に計画された恐ろしいミステリーです。囚われの侍女「スウ」を待ち受ける運命は このあとは本を読むかドラマを見てください。
ニックネーム ハマの萱さん at 20:54| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書と本

2007年10月25日

飛行機 よしもとばなな「まぼろしハワイ」

≪いつ読んでも 小説の中に入って いったりきたり なかなか外に出られない≫

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フラダンサーのあざみさんと 大学生の義理の娘オハナちゃん。ふたりは夫としてまた父として 愛しぬいた男への強烈な思慕を抱えて 仕事のやりくりをして思い出のホノルルへ短い休暇に旅たって行く。
ふたりは戸籍上親子であるけど 年齢は10歳も離れていない けれど二人のパパは突然死んでしまい寄り添うように暮らしていた。
温かな風に包まれ 心の中が甘く官能的に動き始めるその地で ふたりは懐かしい人々に出会い 鮮やかな自然に包まれる時を過ごしていく。
ハワイで彼女らが経験した心温まる感動の癒しの旅が続いて パパの亡くなった哀しみは消えることがないけれど 何かが変化し 一生の家族の絆が生まれてきたことを感じながらから新しい生活の場へと戻って行く。

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いつも思うのだけれど 「ばなな」さんの小説は 何かとても切なくて 心の襞に入り込んでくるような語り掛けですね。容易に作品の中に溶け込み一体感が生まれる感じはなんなのでしょうか。 男の私が読んでもそうなのですから 少し感情に波がある女性が読んだら作中に重ね合わせとても切ないでしょうね。 この作品も余韻に浸れるいい作品でした。

他の作品も 同性愛など禁断の愛も盛り込みながら 読後には生きる喜びを強烈に感じさせるものばかりです。
ニックネーム ハマの萱さん at 20:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書と本

2007年09月30日

夜 V・E・フランクル「夜と霧」

≪ナチスの強制収容所のことは 現実にあったこの世界に生まれた人間として もっとも恥ずべき暗黒の出来事です≫

「夜と霧」の原題は 「心理学者、強制収容所を体験する」というのだそうです。今から60年ほど前に著作されました。

ナチスの強制収用所から 奇跡的に生き残った数少ない生存者は どんな環境にあっても 生きる希望を持ち続けた人が生き残れたと 言っています。

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そしてこの「夜と霧」の作者もこの本の中でこう語りかけています。

「収容所生活では 動ける限り人は労働力として扱われ 動けなくなるとガス室に送られる。 囚人から選ばれた監視人がいて 本当は弱者の人間が同胞を痛めつける。 その監視人も明日の命の保証は無い。」

そして そうした生に 果たして意味があるのか 著者V・E・フランクルは「苦しむことにも意味があり 苦しむことも生きることの一部であり 運命も死さえも生きることの重要な一部だ」と気づくようになった。 と言わしめています。

民族浄化はこれほど大規模でなくても 世界のどこか 特に中東やアフリカで今でも蛮行が繰り替えされています。

アメリカで起きた同時多発テロ 9.11の日が今年も過ぎました。
テロの首謀者 オサマビンラディンは 「イラク戦争を終わらせる方法は二つある。あなたたちをもっと殺し続けるか、あなたたちがイスラム教徒になるかだ」 抹殺の連鎖はいまでも続いているのですね。


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2007年09月23日

いす 遠藤周作著「沈黙」を読んでいる

≪支倉常長を主題とした「侍」から 神とは何か信仰とは何かを問いかけた標題の「沈黙」について考えている≫

☆「沈黙」の内容
キリシタン迫害史を背景とする緊迫のドラマの中に、神の存在を問い、信仰の根源を衝いて、西洋と日本の思想的対立を鋭くえぐり出す長編小説。谷崎潤一郎賞、ピエトロザク賞受賞。

いま「五木寛之」さんの私訳「歎異抄」が読まれているそうです。信仰とは何か 仏とは何か 浄土とは何か 魂の心の救済とは何か 沙弥「親鸞」の真情を弟子「唯円」が師の生きた言葉をまとめたものですね。
この「沈黙」も同様な考えかたと言っても間違いはないでしょう。

島原の乱が鎮圧されて間も無い「キリスト教禁制下」の日本において 棄教を迫られるポルトガル司祭・ロドリコの苦悩と神への信仰を描いた 遠藤周作の代表作と言われています。

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宗教とは何か 信仰とは何かという事のみならず 生死に拘わる困難な状況に直面した際に 人は何を考え思うのかという根源的なことを 作者は読者に問いかけています。

表題の「沈黙」とは、神の沈黙のこと。
江戸幕府の役人によって、自分の目の前で日本の信徒が拷問され殺されていく。ロドリゴは神に「救い」を求めても状況は何も変わらず神は沈黙したまま。
何故神は、これだけ信仰しているにも関わらず地獄のような試練を与えるのか。

事の正邪を論じた単純な作品ではなく 棄教を迫られたロドリコ・フェレイラ・キチジローの心の葛藤を描いたとみるべきでしょう。

作品中、キチジローこう叫びます。
「踏絵ば踏んだ者には 踏んだ者の言い分があっと。踏み絵をば俺が悦んで踏んだとでも思っとっとか。俺を弱か者に生れさせおきながら 強か者の真似ばせろとデウスさまは仰せ出される。それは無理無法と言うもんじゃい」

苦しい目に遭う人間がこの世界に生きているというのに どうして神は黙ってそれを見ているのか? 神の沈黙それがこの本の主題なんでしょう。
 
☆島原の乱が鎮圧されてから数年の後の話。
主人公は日本におけるキリスト教迫害によって 教義を捨てたと言われるかつての師を追って日本へ向かう。
航行は嵐など困難を極めたが 神の救いを信じる主人公はひたすらに キリストの慈顔を思い浮かべて長い苦難の日々を耐え抜き日本へたどり着く。
また キリスト教が禁止されている中で いわゆる日本の隠れキリシタンのために またさらに信徒を増やすために日本へ侵入し 布教しようとしたポルトガル人の司祭が主人公。が そこで目にする物は貧しい日本の殉教者に対する神の沈黙であり 朋友の死であり かつての師の零落した姿だった。

最終的にはロドリゴは奉行所に棄教を迫られ踏み絵を踏むのだが かといって彼が「神の存在を信じられなくなった」のではないという点がキリスト者の作者の考えでしょう。ロドリゴが踏み絵を踏んだとき 彼は重い痛みを感じる。
自分の生涯をかけて思っていたものを裏切るのだから。
だが そのとき踏み絵のイエスが彼に語りかける。
「踏むがいい。私はお前たちに踏まれるため、この世に生れ、お前たちの痛さを分つため十字架を背負ったのだ」と。
ロドリゴは踏み絵を踏むことによって それまでのキリスト教の信仰を棄てることになったがけれど それまでとは違った形でイエスの愛を捉え直すことになった。
神は沈黙していたのではなく共に苦しんでいたのであり その神の苦しみを感じた人がいるということ自体が神の存在を語ることになっている。というのが「沈黙」を書いた作者の本心でしょう。

ヨハネ福音書に書かれている「一粒の麦」としての使命と意志もあったのでしょう。 暗い主題と希望が見えないやるせない思いを読んだ当時感じましたね。

発表当時 キリスト教会やローマ教会などの避難や 賛否労論批判の批評もたくさんあったようですが 自分と神との関係というのは 家族・友人との関係を超越するものなんだと思う。 とても考えさせられる内容です。


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2007年09月20日

ひらめき 400年前の「キューバ・ハバナ」に日本人の足跡が

≪日本の戦国時代は 何か閉塞しているように感じるが この時代は東南アジアや 交易を求めて世界に羽ばたいた日本人が沢山いた おもわぬ土地に日本人の足跡が残っている≫

キュバの首都ハバナの空港へ向かうメインストリートに ある侍姿の日本人の銅像がある。
それは伊達政宗の命により慶長18年(1613年10月) 遠くイタリア・ローマに派遣され この地に日本人として始めて足跡をのこした 仙台藩士「支倉常長」の銅像なんです。

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仙台の高校が創立記念に建立したもの

この事跡を作家「遠藤周作」は「侍」として世に問うています。

今をさかのぼること385年の昔 慶長18年9月15日(1613年10月28日)宮城県牡鹿半島の月の浦を出帆した侍がいた。
支倉常長である。(仙台・青葉城址に銅像がある)常長一行は 太平洋を横断しメキシコを経て イタリアのローマに向かうというのである。船の名は「サン・ファン・バウティスタ号」。日本人の手で初めて作られた500トンの洋船である。
仙台藩主・伊達政宗の特命を受け,メキシコ・スペイン・イタリアそしてローマ・バチカンへと旅した。

スペインで洗礼を受けキリスト者となるが 成果をあげることも適わず 出帆から7年後に日本に戻った時は 折しも徳川幕府による厳しい禁教令下であった。そのため 常長の帰国後 彼がどこに住みどのような日々を送っていたのか全く謎なのである。遣欧使節の最後は惨憺たるものであった。

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☆侍(1980年 57歳の時の著作)

「沈黙」と並ぶ遠藤周作の代表作の一つ。
東北の下級武士である主人公の「侍」は 藩主の命によりヨーロッパとの交易で藩を富ますために 通訳兼案内人である宣教師ベラスコに伴われて 異国への長い旅に旅立つた。
そして 長い旅の終わりに待ち受けていたのは キリスト教に帰依したことを理由にした処刑であった。

「侍」は決して本心からキリスト教に改宗したわけではなく キリスト教に改宗しなくては役目を果たせない状況に追いつめられたからで いわば「形式的な」ものであった。
にもかかわらず 江戸幕府の詰問を避けるためには 東北藩主は「侍」を処刑したのである。
この政治上の争いに巻き込まれ 人間世界の醜さ・不条理さを知った「侍」は 最期に「同伴者」としての神の存在を真に理解する。
この侍の人生は 「どんな形であれ、神に一度かかわってしまったものは 神を捨てることはできない」という作者の考えを表したものと理解すべきしょう。

時代の変化で数奇な運命に翻弄された 「支倉常長」はどのようにヨーロッパの文明を見 極東の果て日本のの現状をどう認識したのでしょう
そして已むを得ず「洗礼」を受け入信した後 キリスト教の「神」をどのような気持ちで受けた止めたのでしょうか 謎のままです。


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2007年09月07日

カチンコ 純愛物語「哂う伊右衛門」四谷怪談

≪ご存知四谷怪談 民谷伊右衛門とお岩さんの物語を 幻しの物語を書けば当代一の作家 京極夏彦さんが
新しい視点で物語る悲しい愛の物語≫

2004年初め 監督・蜷川幸男で映画化され これまでにない映像が公開されました。当時は京極さんに関心を持っていず 暗い画面を流してみていましたので 本を読むまでこのような解釈で ミステリー仕立てがある作品だとは思えませんでした。 

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★あらすじ
主家が断絶にあい 勘定方の役人であった武士として 責任をとって切腹した父の介錯した過去を持つ境野伊右衛門。
世捨て人然として貧乏長屋の片隅でひっそりと暮らす浪人・境野伊右衛門(唐沢寿明)は 御行の又市(京極作品には欠かせない小股くぐりの異名を持つ)(香川照之)の計らいで お先手同心(いざ戦があれば先駆けする足軽か)民谷家の娘・岩(小雪)と縁組みしその家督を継ぐ。

岩は病(天然痘・疱瘡)のせいで美しい顔に醜いただれを負っていたが 卑屈さなど微塵もない気丈で信念を持った女だった。
はじめこそ感情を表さない夫に苛立ちを募らせる岩だったが 伊右衛門の誠実な心情が伝わるに連れて2人は次第に心を通わせて行く。

しかしかねてより岩に執心していた筆頭与力・伊東喜兵衛(椎名桔平)はそんな2人を苦々しく思っていた…。
・この伊東喜兵衛は 自分の他 世の中の仕組みや人に対してあら捜しをして 全て気に入らず姦計をめぐらせ弱いもの落ち度があれば とことん甚振り 若い女を拉致・誘拐・監禁・強姦と悪逆非道を繰り返すが 上司の頭取が実の異母兄で公にならない。
現代で言うパワーハラスメントの最悪の人物として描かれていて 全ての悲劇はここから始まっている。
いまどきこのような人物がいたら みんな欝か 自殺をしてしまいますね。 こちらの方があな恐ろしや〜。

伊東喜兵衛の姦計にあい 岩と伊右衛門は分かれてしまうが 民谷の家(お先手同心の家では由緒ある名跡)はお岩さんで絶えるが伊右衛門のためにつましく市井の人となり 傘貼り達磨の色付けで穏やかな暮らしを続けていた
しかしそこにまた いらぬ噂を吹き込む按摩の宅悦と直助権平衛・・・。 お岩さんの心根が良く読み取れる「京極」さんの筆致のさえです。 嫉妬と誤解から誤って人を殺めたお岩さんは・・・・・。
 
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屋敷内の樹木をすべて切り倒してしまうという異様な後日談や 鼠にかじられて長持の中で息絶える伊右衛門の凄絶な最期さえ ここでは明快な論理的必然性が与えられ、かぎりなく美しいラストシーンへと磨き上げられる。
事件の後のお岩さんの行方が ミステリー仕立てで明かされ 衝撃とともに呆然としました。

人間の業と嫉妬・裏切りによる「鶴屋南北」作の「東海道四谷怪談」は恐ろしく怖い物語ですが 本音は「京極夏彦」さんの物語だったのでしょうね。
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2007年08月07日

リボン 世代を超えて大反響!「女性の品格」

≪国家の品格が大ベストセラーになって 何かと品格シリーズが出てきたが 今度は女性に照準を合わせた「女性の品格」の評判が良いようだ≫

強く 優しく 美しい女性になるための66の法則と銘打って 装いから生き方までを 「坂東眞理子」さんが本にして ビジネスや・就職活動にも大好評で120万部を突破したんですって 何がそれほど部数を伸ばすことが出来たのでしょうか。

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★著者「坂東眞理子」さんのプロフィール
東大卒のキャリア官僚であり、埼玉県副知事、在オーストラリア連邦ブリスベン日本国総領事(これは初の女性総領事であるという)などを歴任し、内閣府男女共同参画局長として行政の男女共同参画の責任者を務めた人である。 立派な肩書きですね行政手腕もなかなかとお見受けしました。

書評では今日的な「よき女性らしさ」を提示しようとしているし この内容を女性がどう読むのかは 読む人の読み方によっても異なってくるだろうことは 十分に予想できる。 と評されていました。

当初は押し付けがましいという評もあったようですが ここまで読者がいるとは予想していなかったのではないでしょうか。 男性も裏返して読んでいるようです。

☆上品な女性とは
これだけでも抵抗があるのでは 誰のために上品になるのかと反論されそうですが 本を読めば自分自身のためなのですね。
・約束を守る ・得意料理をもつ ・勝負服をもつ ・姿勢を正しく保つ ・仲間だけで群れない ・独りのときを美しく過ごす ・古典を読む趣味を持つ ・プライバシーを詮索しない 思い出の品を大事にする ・型どりの挨拶ができる ・花の名前を知っている。
見出しだけでも この本の題名を言い得ていますね。

20歳過ぎても「女の子」といっている女性では無理かも知れないけれど 勉強する 自分を磨く と言うのはいつでも出来ると言うことを忘れてもらいたくありませんね。

一方で男性にとっては 当然ながらビジネスマナーや服装などについては共通するものがあって キャリアを磨くそれだけでも役立つ本です。

世の中で活躍している女性が男性をどう見ているのか 男性である自分の言動が女性からはどのように見えているのか ということが一目瞭然にわかるという点で 本当に手厳しくも勉強になる本でした。 
ニックネーム ハマの萱さん at 10:26| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書と本

2007年07月21日

ドコモ提供 あやしの世界「京極夏彦」ワールド ドコモポイント

≪これが百物語のはじまりでございます で始まる巷説(街の噂話の真実) どこまで本当やらあやかしか はじまりはじまり≫

今は最新刊の「前巷説百物語・さきのこうせつひゃくものがたり」を読んでいる。 これがめっぽう面白いんですね。
京極物語の定番で読み方難しい漢字が出てきたり 語りがあっちへ行ったりこちらに来たり 右に行ったり左に向いたり読みにくいこと夥しいけれど 物語の題名と奇想天外な顛末で飽きさせませんね。

こちらは江戸時代のお話で 物によっては藤田まことの人気TVシリーズ「必殺仕掛人」のストーリー展開を読んでるようで その中にいまでいうマジック・イリュージョンの仕掛もあって益々面白い。

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大損まる損困り損 泣き損死に損遣られ損。
ありとあらゆる浮世の損を 見合った銭で肩代わり。 銭で埋まらぬ損を買い 仕掛で補う妖怪からくり。
寝肥(ねぶとり)・周防の大蝦(すおうのおおがま)・二口女(ふたくちおんな)・かみなり・山地乳(やまちち)・旧鼠(きゅうそ)---。
小股潜りの又市が 初めて見せる御行姿。明治へ続く巷説が ここから始まる百物語----。

これらの題名やら 語りのお題目は表紙の裏に記してありました。これだけでも不世出の噺家 「明治の三遊亭円朝」の怪談話にも通じますね。

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☆あまりに面白いのでシリーズ4冊購入してしまいました。
・巷説百物語 戯作者志望の青年 山岡百介は越後の山奥で 御行一味と出会う。 闇に葬られる事件を金で請負 あやかしをあやつり始末をつける。

・続巷説百物語 狐者異 野鉄砲 飛縁魔・・・闇にびっしり蔦延びる愚かで哀しい人間の悪行は 御行一味の妖怪からくりで裁くしか道は無い。 

・後続巷説百物語 明治10年 一等巡査の矢作剣之進は ある島の伝説を巡り薬研堀のご隠居一白翁を訪ねた。 その昔 百物語開版のため諸国を巡った翁は 昔の事件を語り始めた。

各巻分厚い「百物語」を読了するには少し根気がいるようですが 魑魅魍魎の世界は楽しいので毎日読み進んでいきます。
ニックネーム ハマの萱さん at 11:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書と本

2007年05月23日

がく〜(落胆した顔) 「獄門島」から「三つ首塔」へ そして更なる恐怖へ

会津若松で起きた高校生の「母親首切り殺人」の引き金が 「横溝ワールド」や「ハンニバル・ライジング」にあると一部報道されているけど 現実と虚構の世界の区別が出来ない社会をどう考えたら良いのでしょう。

≪今また 獄門島(ごくもんとう) ご存知 昭和を代表する推理小説家 横溝正史が面白い≫


何度目かの「犬神家の一族」が映画化されて上映された。数年ぶりにまたまた読み返していて筋書き犯人も分かっているのに 引き込まれてしまう。

横溝正史の作品はあまたあるけれど 代表的な作品を列挙すると 「本陣殺人事件」「八つ墓村」「三つ首塔」「獄門島」などが有名である。

題名を聞いただけで「おどろおどろしい」情景が浮かんできますね。よくもこのような題名を思いつくものです。

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名探偵「金田一耕介」が独特の観察力と推理力で 難事件を解決していく怪奇・伝記推理小説ですね。
「江戸川乱歩」ほど耽美的ではないけれど 色彩の美学は十分に感じられて想像力が醸し出されます。

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講談社の文庫本も カバー表紙も乱歩シリーズと双璧でこのカバー収集をしている人が沢山いるそうですよ。

そして「八つ墓村」と双璧をなす 瀬戸内の海賊の末裔と島流しの都の貴族の血が色濃く混じった架空の島の惨劇 「獄門島」。

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事件は「血の悪」で全編が貫らぬかれていて それに莫大な遺産相続が絡み因習が色濃く残る狭い囲まれた地域設定が舞台です。これが横溝正史ワールドの魅力なんですね。

今は刑事事件を担当する「探偵」などというものはいないと思いますが 最近の犯罪の多様性と凶悪性 そして未解決事件の多いことを思うと 設定の巧みさで再度ブームが訪れるかもしれませんね。

★標題の本を順に読んでいて 今度は「ぬえの鳴く夜は恐ろしい」の「悪霊島」を読むことにします。
ニックネーム ハマの萱さん at 18:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書と本

2007年05月03日

アート 大人も楽しめる「折り紙カード」

≪日本が世界に誇れる文化 折り紙の楽しさ 海外で鶴でも折ると皆んな喜びます≫

もう大分前にNHKのテレビ番組で 変わり折り紙のことを紹介していましたが こちらもその一つです。

どこかの本屋さんに置いていないかと捜がしたのですが見つからないので 本屋さんに注文をしたら取り寄せられるということで やっと昨日到着しました。

普通折り紙は単色カラーの正方形の紙を使用しますが こちらは図柄が印刷されていて 指定の山折り谷折りをするとなんと次のようなデザイン折り紙になりました。

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五月端午の節句に合わせて 緋鯉と真鯉 そして歌舞伎十八番・暫 です。
その他 狐・蛙・メジロ・お面の数々 「みて楽しく」「折って楽しく」「送っても楽しい」折り紙です。

著者はCOCHAE(こちゃえ)さん 出版社は青幻舎(京都)です。興味をもたれた方は一冊いかがですか。
ニックネーム ハマの萱さん at 09:42| Comment(2) | TrackBack(1) | 読書と本

2007年04月26日

本 ついていない日々の面白み「よしもとばなな」さん

≪なんとなく軽い読み物を通勤電車の中で読みたくて 表題作をよんでいます 軽いなんて書いたら「ばなな」さんに叱られるかな≫

毎日書いている日記を本にした物です。
「よしもとばなな」さんの凄いところは とにかく公私に渡って友人が多いことでした。
作家なのでいろいろな方面に友達が出来るのでしょうが 「ばなな」さんに受け入れる余地がなければ作れないでしょう。

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翻って自分のことを考えるとたくさんいませんね。恥ずかしいくらい少ないですね。
サラリーマンなので仕事仲間やお得意さんはいても 仕事でお付き合いをしているだけで友人としては付き合いもしていない狭量心 反省しますね。

ご近所付き合いも子供がいなかったせいか拡がりもありません。
今は自治会の役員に頻りに誘われていますが リタイヤしてからと断っているので またまた友人が増えそうにない。 おじん(かなりお歳のおじん)とお付き合いするほど老け込んでいないし どうなんでしょうねこれからは?

まあいっか 私なりの人生を歩んできたので 時とともに流されていくのもと思っています。
はい! 現在のくらしに「不満足」はありませんです。
ニックネーム ハマの萱さん at 18:18| Comment(4) | TrackBack(0) | 読書と本

2007年03月01日

がく〜(落胆した顔) 戦後60年 なお80人以上が入院

≪ショッキングな書評にであった アメリカ軍のイラクやベトナム戦争後遺症のことが深刻な問題になっているが 日本軍のことはまったく抜けていた 恥ずかしいことです≫

本の題名は「日本帝国陸軍と精神障害兵士」とあります。
『アジア太平洋戦争は、心を病んだ兵士も多数生み出した。帰国後も、敵の喚声や銃声の幻聴に悩まされたり、中国で殺害した住民の顔が悪夢の中に現れ、苦しみに不眠に陥ったりする兵士が続出した』 千葉にあるこの病院には総計1万人の精神障害者が収容され 戦後60年 今でもなお80人以上が入院しているとのこと。
すでに平均年齢は80代半ば 痛ましいというほか言葉がありません。

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戦争末期には 知的障害者も徴兵され(精神年齢9歳程度の人もいた)軍令・軍律違反を犯した後懲罰治療で このような知的障害者も 戦地で精神疾患を発病すると この病院に収容されたと記録されています。

イラクからのアメリカの帰還兵の20%がPTSD(心的外傷後ストレス障害)などの障害を抱えていて 日本でも陸上自衛隊員3人が帰国後自殺していることを どう考えたら良いのでしょうか。

当然このように 戦争による精神障害者は存在するということに対し 今まで思いを馳せなかったことを 心に恥じています。

戦争は兵士にとって生死にかかる究極のストレスにであって 戦争当事者には深い傷を与え また周囲の人にも悲しみと深い傷を残してしまうのですね。戦争行為はどんな場合でも起こしてはなりません。
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2007年02月08日

本 キム・ソナさんといえばキム・サムスン

≪わたしの名前はキム・サムスンで 日本でもブレイク中のキム・ソナさんが案内する 「わたしの名前はキム・サムスン」書名の本がでました≫

昨年の10月まで放送していた 「わたしの名前はキム・サムスン」はヒロインの生き方が 韓国同年代の女性の共感を呼んで さらに日本でも評判の作品でした。

この感動作品が出来るまでのあらましを キム・ソナさんが生い立ちや日本で中学・高校をすごしたことなどを 日本の読者のために語ってくれていました。

それぞれ一話一話づつ作品が出来るまで 俳優さんのこと監督さんのこと そしてこの作品に対するキム・ソナさんの思い入れが あたたかな語りで綴られています。

韓国はまだまだ男性社会 学歴社会・現場より事務が尊重される儒教の影響が色濃く残っているところに 「キム・サムスン」の生き方・破天荒な言動に韓国女性の共感が得られ 放送中はメールや投書がネットに氾濫し流行語になった言葉も多かったそうです。 

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☆出版社 / 著者からの内容紹介
韓国で最高視聴率50.5%を記録し、日本でも大ブレイクしたドラマ「私の名前はキム・サムスン」。
独身30歳、従来の韓国ドラマにないヒロインを演じて女性から圧倒的支持を得た女優キム・ソナ。中・高校時代を日本で育った異色の経歴の彼女が感動のドラマ秘話を語りつくす。
日韓両国を知る彼女ならではの視点で、女性たちの“今”を見せるユニークで痛快なガイド本。人気共演者ヒョンビンの独占インタビュー&撮りおろしも収録。監督、脚本家も登場。カラー写真多数。

ドラマの中の「キム・サムスン」は この名前が嫌でいやで改名しようとします 日本人は何故かわかりませんが 三女なので三子 男だったら留吉・留蔵でしょうか とても古臭い安直に付けた名前なように感じられるんですって。わかるような気がしますね。

ということです。面白そうなので本屋さんで取り合えず 立ち読みしてみようと思いましたが 立ち読みするよりゆっくり読みたくなったので 購読しました。1300円

・わたしのブログにも3回登場してもらいました。
 @わたしの名前はキム・サムスン
  http://travel-mujic-2.269g.net/article/2506042.html#comment
 Aキム・サムスン語録−1
  http://travel-mujic-2.269g.net/article/2801263.html#comment
 Bキム・サムスン語録−2
  http://travel-mujic-2.269g.net/article/2998635.html#comment
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2007年02月05日

ドコモポイント 宮部みゆき「あかんべえ」

≪タイトルそのものが面白く 何が書いてあるのかなと思わず手に取っていました これが江戸っ子流に言えば「めっぽう面白や」≫


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深川の新規開店の料理屋「ふね屋」 一人娘の12歳の「おりん」は生死をさ迷ったあと 何故か「ふねや」に現れる「亡者」「化け物」が見えてしまう。「おりん」だけが家族や奉公人には見えない亡者が見えてしまうのか。気丈な「おりん」の冒険と謎解きが始まる。

宮部ワールドの真骨頂が見え隠れて ワクワクして上下巻をあっというまに読んでしまいました。
「亡者や化け物」は 見ようと思っても見えない 見える条件が「この謎解きの」ポイントなんですね。映画にしたらとても面白いと思います。誰か映画にしませんかね。

☆ブックレビュー
江戸・深川の料理屋「ふね屋」では、店の船出を飾る宴も終ろうとしていた。主人の太一郎が胸を撫で下ろした矢先、突然、抜き身の刀が暴れ出し、座敷を滅茶苦茶にしてしまう。亡者の姿は誰にも見えなかった。しかし、ふね屋の十二歳の娘おりんにとっては、高熱を発して彼岸に渡りかけて以来、亡者は身近な存在だった―。この屋敷には一体、どんな悪しき因縁がからみついているのだろうか。

「ふね屋」には五人の亡者が迷っていた。あかんべえする少女、美男の若侍、婀娜っぽい姐さん、按摩のじいさん、宴席で暴れたおどろ髪の男。亡者と心を通わせていくうちに、おりんは、ふね屋の怪異が三十年前にここで起きた忌わしい事件に関っていることに気づく。幾重もの因縁の糸はほどかれ、亡者は成仏できるだろうか?ファンタジーとミステリと人情味が絶妙に溶け込んだ感動の時代長篇。


このブックレビューを読んだだけでも 本格的に手に取ってみたくありませんかね。
ニックネーム ハマの萱さん at 17:15| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書と本

2007年01月16日

バースデー ターシャ・テューダーさんの絵本の世界

≪大人が見ても読んでも絵本は楽しい 幼い子供に読んで
聞かせてあげれば 一生忘れないことでしょう≫

絵本やお人形の作家で 四季折々の花を愛している農園家としても知られている ターシャ・テューダーさんが 子供の頃家族で過ごした季節毎の仕来りを 詩情豊かに描き 古き良き時代の面影を今に残していて秀逸です。

お孫さんといってももうすでに30歳の方は 「コーギーコテージ」(コーギーとは愛犬の名前)で暮らした日々は 食器洗いや農園の仕事は 子供心にもとても厳しかったが 四季のなかにあるお祝いや祭りは 今でも心に残る楽しみであったといっています。

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今でもクリスマスにはもみの木を切って室内に置いて 家族総出で飾りつけをし その中にはターシャさんの伯母さんが遠くドイツまで出かけて購入してきた 色とりどりのガラス球や 手作りのジンジャー・ブレッドに砂糖ミルクの絵付け それとこれも手作りの 蝋燭をツリーに点してお祝いをしていました。

6ヵ月にも及ぶ雪の降り続くバーモントの生活は厳しいけれど 花々の咲き乱れる春から秋のことを思えば この冬を乗り越えられるのでしょう。
東京ドームの何十倍もの敷地中にある「コーギーコテージ」 その大部分はターシャさんの考えで手付かずのままの森でした。
いつかは自然に返すのだそうです。

誰にでも出来ないことだけれど 頑なまでに花を愛し 絵本や挿絵の印税を全てつぎ込んだ「コーギーコテージ」は 40年を経て大きく実っていました。


ターシャ・テューダー(Tasha Tudor、1915年8月28日 - )
さんは アメリカの絵本作家。挿し絵画家。

マサチューセッツ州ボストン生まれ。50歳代半ばよりバーモント州の小さな町のはずれで自給自足の生活をひとり営んでいる。
彼女の描く絵は、「アメリカ人の心を表現する」絵と言われ、クリスマスカードや、感謝祭、ホワイトハウスのポスターにもその絵が使われている。

1800年代の農村の生活に学び、彼女の住む家である「コーギーコテージ」の周囲に広がる広大な庭で、季節の花々を育て続ける彼女のライフ・スタイルに、日本でも近年、注目が集まっている。
ニックネーム ハマの萱さん at 19:00| Comment(6) | TrackBack(0) | 読書と本

2007年01月04日

がく〜(落胆した顔) ロバート・サブタさんの飛び出す絵本

≪この本を開いたとき 驚きの世界が現れてきます 紛れも無く
飛び出す絵本です≫

もうこの本を開いたときから 出来映えといい想像力が豊かに広がってきます。 芸術性が高く子供の絵本を脱していますが 作者は子供も目線で制作し 子供たちが絵本の中から物語を作り出してくれることを
期待しているようです。

洋書店や大型書店で一度は見かけたことがある「飛び出す絵本」本を開くとその中から立体的なオブジェが飛び出してくる。まさしく飛び出してくるんですね。

☆作者はロバート・サブタさんのニューヨークの工房です
その繊細さ、華麗さ、美しさで、見る人の心を捕らえて離さない、ペーパー エンジニアとも、
紙工作の魔術師とも称される、飛び出す絵本、仕掛絵本の第一人者、ロバート・サブダ氏。
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「不思議の国のアリス」は古書店でも手に入らないようです。


日本でもお伽話の「桃太郎」や「金太郎」そして民話を題材に取った絵本はあるが あまりにも素朴で想像力が湧いてこないのです。

1枚のデザインを形にするのに2ヵ月は掛かると言いますから 一冊の本に仕上げるには数年必要ということです。

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一冊の本の中には10ヵ所くらい挿入されている。どのように作成しているかというと 完成した型紙一つ一つ組立絵本に貼り付けていく。製本は中国の製本会社で手作り 大変な作業だと思いました。

アイディアは沢山あるけど どのように表現して型紙を起こすか試行錯誤の連続だそうです。

「恐竜」や最近完成した「サメ」は 口の中までリアルに作られていました。

クリスマスカードにも 開くと立体的なオブジェが現れ 楽しくなるのがありますね。複雑な物になると何層にもなっていて 精巧さに驚きます。夢があっていいですね。
ニックネーム ハマの萱さん at 10:55| Comment(0) | TrackBack(1) | 読書と本

2006年12月27日

本 2006年 ベストセラーは

≪今朝の朝刊を読んでいたら 今年のベストセラーが出ていた 
読んだ本もあれば無いのもあった≫

クリスマスも終わって 街中は少しづつ新年の装いに変わってきています。今年も恒例の今年のベストセラーが発表されました。

☆ベストセラーのトップは
 藤原正彦「国家の品格」で「武士道精神」の意義や「日本人は独創的」など”癒される”指摘で 05年11月以来232万部
☆二番目は
 J・K・ローリング「ハリー・ポッターと謎のプリンス」「ハリポタ」シリーズ6作目 上下巻で205万部
☆ほかに小説では
 家族の心のふれあいを描いた リリー・フランキー「東京タワー オカンとボクと 時々、オトン」05年6月の発刊から 現在200万部

あと100万部以上のベストセラーが数冊と 大変なものですね。
そのほか「えんぴつで奥の細道」 松尾芭蕉の紀行文をえんぴつでなぞるユニークさで 95万部ということです。

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「ハリー・ポッター」は 映画での作品しか見ていないけれど ベストセラーになる要素 筋書きが読めない楽しさ 主人公たちの人物キャラクターの面白さ そして冒険に伴う友情と試練が満載の作品ですね。

「国家の品格」「東京タワー」は このブログにも取り上げて 感想を記しました。 「奥の細道」も折りに触れて開いて 鉛筆書きで自分の気に入った句を書きとめています。

そのほか少なくない本を読んでいますが 最近は昔購入した本を再読して 前には見えなかった場面に思いをはせています。
ニックネーム ハマの萱さん at 21:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書と本

2006年12月01日

わーい(嬉しい顔) 世界の日本人ジョーク集から

≪いま世界の日本人ジョーク集が ベストセラーになっているようですね≫

話題としてテレビでも取り上げていましたから 内容をご存知の方も多いことでしょう。 外国人の著作だと思ったら著者は日本人の方なんですね。

外国暮らしも長いようですから 多分酒場やパブみたいなところで それぞれのお国自慢や 性格を口角泡を飛ばして笑いながら 時には剣呑な雰囲気の中から ヒントを得たのではないかと想像しています。

街頭インタビューで 人によっては誇張しているとか 日本人を馬鹿にしていると憤慨している人もいました。

☆例えば
◎神様の前で
ある時 神様に前に各国の人々が集められた。神様が聞いた。
「あなたはお金で幸福が買えると思いますか? もしも買えるというのなら あなたは買いますか?」
・フランス人はこう言った。
 「私はワインとチーズさえあれば幸福です。それ以上は望みません」
・イタリア人はこう言った・
 「私はサッカーパスタがあれば幸福です。それ以上は望みません」
・日本人はこう言った。
 「買えるのならもちろん買いますよ。あと 領収証をお願いします」


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ふわふわ。りさんから

この本の中には 良くも悪くも欧米人は自己確立個人主義 日本人は自己なく集団行動主義といえるでしょう。
そこからジョークが生まれてくるんですね。

欧米人は 国土が大陸で容易に人が移動できる。このため他民族と自己を守るために 自己中心・個人主義に徹しないと自分も家族も財産も守れない。

日本は江戸時代の封建社会の社会秩序は 多分に儒教精神はあるが「恥の文化」であり 個人行動は町や村社会では快く思われていなかったのが 今でも行動規範になっているので ジョークにし易いのでしょう。

他の人が世間がどう見ているか を律して生活してきたんですね。
何事もひとりでは決めず 皆で決定する集団主義・行動ですね。
他国の人や周囲の人の反応に過敏にまた反応する。

マスコミも何か事件・報道の大きいものがあると 外国ではどう思っているか聞いて見ましょうと 特派員がインタビューをしている。

☆もう一つのジョーク ◎幸福論
人生における最高の生活とは?
・アメリカで給料をもらい イギリスの住宅に住み 中国人のコックを雇い 日本人を妻にすることさ。
では 最低の生活とは?
・中国で給料をもらい 日本の住宅に住み イギリス人のコックを雇い アメリカ人を妻にすることさ。

このジョーク集は 日本人の行動をまあまあ代弁してくれています。 あまり目くじらを立てずに 外国人は多かれ少なかれ日本人をこう見ているんだなと思うと 何かのときに参考になります。
ニックネーム ハマの萱さん at 18:20| Comment(6) | TrackBack(0) | 読書と本